ルーマニアの民間就労者の実質賃金が前年比で減少していることが、コンサルティング国際大手のプライスウォーターハウス・クーパース(PwC)の調べでわかった。同社がこのほど発表した同国企業の賃金・賞与に関する調査リポート『PayWell Romania』によると、2010年の平均賃上げ率は4.3%と09年の7.2%を大きく下回る見通し。現時点の年間インフレ率は7%超と、賃上げ幅を上回っており、実質所得は縮小している。
\調査した国内150社(総従業員数14万人)のうち約7割が、賃上げをすでに実施済みあるいは年内に計画していると回答。賃上げ率は小売業の2.9%からIT産業の5.9%まで開きがあった。輸出関連業種では外需けん引で業況が回復に向かっているものの、国内ではまだ景気不透明感が強く、経費削減圧力を受けて賃上げに慎重な企業が多いようだ。
\8月のインフレ率は年率換算で7.6%となり、7月の7.1%からさらに上昇した。国際通貨基金(IMF)は、ルーマニアが7月に付加価値税率を5%引き上げたことを受けて、2010年のインフレ率予測を当初の3.5%から7.9%に大幅上方修正している。インフレ圧力が一段と強まるなか、来年の賃上げを計画していると回答した企業は4割で、その平均賃上げ率は6.8%だった。「厳しい経済環境や雇用市場の需給状況を考えれば、これ以上の上昇は期待できない」とPwCは指摘している。
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