ロシア西部スモレンスク近郊で10日午前11時ごろ(モスクワ時間)、ポーランドのカチンスキ大統領らを乗せた政府専用機が墜落し、大統領夫妻ら乗員乗客96人全員が死亡した。同機には、スクジペク中銀総裁や軍幹部、議会内最大野党「法と正義(PiS)」の幹部ら国家の要人が多数搭乗していた。大統領死亡を受け、大統領職を代行するコモロウスキ下院議長は、11日から1週間の国葬を発表した。
\大統領らは、1940年にポーランド軍将校ら2万2,000人以上がソ連の秘密警察によって虐殺された「カティンの森事件」の現場で催される記念式典に向かう途中だった。同機は式典現場に最も近いスモレンスク軍用空港に3度着陸を試みたが果たせず、4回目の着陸体勢に入ったところで機体が樹木に接触して墜落、炎上した。
\ロシア当局によると、管制官はスモレンスク軍用空港が濃霧で着陸に危険が伴うことから、モスクワかベラルーシのミンスクに向かうよう同機に指示。だが、パイロットはこれに従わず、スモレンスクへの着陸を強行したという。モスクワ、ミンスクとも現場から150キロメートル以上離れており、式典の遅延を懸念する政府幹部らがパイロットに着陸を強要したとの見方も浮上している。カチンスキ大統領は2008年8月にグルジアに向かった際、「ロシアと交戦中なので着陸を避けるように」とのグルジア航空当局からの指示に従ってアゼルバイジャンに着陸させたパイロットの判断が気に入らず、「軍人たるもの、臆病ではだめだ」となじった過去がある。
\ロシア当局は、すでに同機に搭載されていたブラックボックスを回収、ポーランドの調査団と合同で事故原因の解析を進めている。これまでのところ航空機の欠陥は見つかっていないとしている。ただ、ロシア英字紙『モスコウ・タイムス』のデータによると、墜落したソ連製ツポレフ154型機は過去10年間に8回もの大事故を起こしており、ロシア国営航空アエロフロートは今年1月に同型機の使用を停止した。
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