米大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズは先ごろ、相次いでハンガリーの国債格付けを引き下げる可能性を示唆した。金融支援を巡る国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)との協議打ち切りにより、同国の経済・財政に不透明感が強まったことが理由だ。
\ハンガリーとIMF・EUは、2008年10月に合意した総額200億ユーロの融資からの引き出しをめぐり協議を進めていた。しかし、オルバン政権は、両機関が融資の条件として要請していた追加の緊縮財政措置を拒否、先月17日に協議を中断した。S&Pは7月23日、協議打ち切りを受けて同国のソブリン格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、ムーディーズも同日、格付けを引き下げる方向で見直すと発表した。両社とも、協議の決裂でハンガリーの財政健全化が停滞する可能性が高まったとみている。
\国際機関や格付け会社が特に問題視しているのは、先月22日に議会で可決された銀行税導入法案だ。銀行から資産総額の0.45%を徴収するという内容で、政府は今年だけでも2,000 億フォリント(7億600万ユーロ)の歳入を見込む。しかし、IMF、EUのほか、欧州復興開発銀行(EBRD)も、西欧諸国と比べ10倍も重い税負担を強いることで、銀行の体力を消耗させ、景気回復にブレーキがかかるとの懸念を示している。
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