2010/8/4

コーヒーブレイク

ロシアのスパイ、チェコで暗躍

この記事の要約

チェコにおけるロシアの諜報活動が活発化している。現地紙『ムラダー・フロンタ・ドネス』によると、昨年、チェコ軍へのスパイ侵入で軍高官4名が任を解かれたことが先ごろ明らかになった。これまでに明らかになったチェコ軍内のスパイ事 […]

チェコにおけるロシアの諜報活動が活発化している。現地紙『ムラダー・フロンタ・ドネス』によると、昨年、チェコ軍へのスパイ侵入で軍高官4名が任を解かれたことが先ごろ明らかになった。これまでに明らかになったチェコ軍内のスパイ事件としては最大規模のものという。

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同紙によると、チェコ人で国家公務員として働いていた「ロベルト・R」なるロシアのスパイが、チェコ軍の女性少佐と懇意になり、同少佐の部下だった将校3名から情報を収集としていた。うち1名は大統領府付武官、もう1名は北大西洋条約機構(NATO)の上級司令官、最後の1名は女性少佐の補佐次官という大物。軍の諜報員はロベルト・Rと少佐を5年以上にわたって追跡調査していたが、ロベルト・Rはロシア逃亡に成功した。

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少佐がスパイと知って情報収集に協力していたかは不明だ。また、任を解かれたNATO士官は、「スパイされている可能性があるなら、そう言ってもらわなければ困る。教えもしないで悪人扱いされたのではたまらない」と話しており、処分への不満を明らかにしている。

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ソ連時代には衛星国であったチェコだが、今では北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟し、「西欧諸国の一員」としてのステータスを確かなものとしている。ロシアの影響力拡大に対する懸念は強く、昨年、チェコ政府がロシア外交員2名をスパイ容疑で国外追放した例もある。冷戦終結から20年経ったが、「東西」のせめぎあいはまだまだ続きそうだ。

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