中東欧電気通信市場の回復は、来年からになりそうだ。オーストリアの銀行大手エルステのアナリスト、ヴェラ・ズテディヤ氏によると、4-6月期の売上後退ペースは減速しているが、年内にはまだエンジンがかからない見通しという。今後、業界では光ファイバー網の拡張に向けた投資が拡大するほか、合併・買収(M&A)の動きが盛んになるもようだ。
\通信各社は光ファイバー網の拡張に力を入れており、今後、プロジェクトの大きな進展が見込まれる。ただ、敷設費用は1世帯あたり500~2,500米ドルで、下水道への併設が可能なパリで300ユーロだったことと比較すると、数倍に上る。このため、採算が取れるかどうかは微妙なところという。各社は投資資金の確保に向け、配当を縮小するとみられ、株価への下げ圧力が懸念される。
\すでに光ファイバー網を利用した通信サービスを始めた会社には、ドイツテレコム傘下のマジャールテレコムとクロアチア・テレコムの2社のほか、スロベニア・テレコムなどがある。
\セルビア・テレコム、スロベニアのTusmobil、ルーマニアのロムテレコムなど、売却が予定される業界企業の数は増加する傾向にあり、今後、M&Aの動きが盛んになるとみられる。
\昨年は、中東欧電気通信市場も後退を余儀なくされた。固定電話事業の売上は6.3%縮小、移動通信も1.8%減少した。有料テレビ、モバイルデータ通信、固定インターネットはプラスとなったが、売上全体の3分の1を占めるに過ぎず、固定・移動通信の減少分を相殺できなかった。
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