ブルガリアが計画しているベレネ原子力発電所建設にかかる費用をめぐり、ロシア側との交渉が難航している。同原発には2基の原子炉が新設される予定で、ロシア原子力公社ロスアトムが2005年に総工費40億ユーロで建設を受注した。ロスアトム傘下のアトムストロイエクスポルトが仏原子力大手アレバおよび独総合電機大手シーメンスから部品を調達して建設を進める予定だ。ただ、2007年7月にブルガリアで政権交代が起きて旧政権の建設計画の不備が発覚。計画はその後大幅に遅れ、現在ロシア側が提示している総工費は63億ユーロにまで膨らんでいる。ブルームバーグの取材に対し、トライコフ経済・エネルギー相が明らかにした。
\プーチン露首相は13日にブルガリアの首都ソフィアを訪問した際、「ロスアトムは明確な見積りを提示した」と述べたが、具体的な金額は明らかにしていない。ブルガリア政府は15日、英国の金融大手HSBCを経営コンサルタントとして任命し、同原発の建設費用に関する助言を求めることを決めた。
\ベレネ原発プロジェクトには当初、独電力大手RWEも参加していたが、昨年秋に資金調達難を理由に撤退。ブルガリア政府はこの穴を埋めるため、クロアチアやセルビアなど近隣諸国に参加を募っているが、クロアチアのコソル首相は先ごろ、同プロジェクトに参加しない旨を発表。一方、セルビアは関心を示しており、1~5%出資する方向で検討しているという。トライコフ経済・エネルギー相はマケドニアにも公式書簡を送ったことを明らかにした。
\ブルガリアでは現在、コズロドゥイ原発が唯一稼働中だが、旧ソ連型の原子炉閉鎖を条件に欧州連合(EU)に加盟したため、2006年までに原子炉4基を順次閉鎖した経緯がある。現在稼働中の原子炉は5号機・6号機の2基のみ。このため、ベレネ原発の2基の原子炉に加え、コズロドゥイ原発でも新たに7号機を建設することを予定している。また、現在稼働中の2基も2017~2020年に寿命を迎えるため、稼働期間の延長を計画。すでに、稼働延長のための技術的調査を開始している。
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