米格付け会社のムーディーズは6日、ハンガリーの債務格付けを投資適格水準の最低レベルである「Baa3」へと2段階格下げした。見通しは「ネガティブ」。財政再建に向けた政府の取り組みが不十分で、財政基盤が弱体化していると判断した。スタンダード&プアーズ(S&P)も、ハンガリーを投機的階級を一段階上回る「BBBマイナス」に格付けしており、政府の信用力低下が明確となっている。
\ムーディーズはハンガリー政府の施策は近視眼的で、持続的な財政再建をもたらさないと指摘。結果として政府の財政力が緩やかに、しかし確実に弱まっていると分析する。そして、現状では構造的な問題に起因する財政赤字が肥大するのが避けられないため、格下げしたと説明している。S&Pも先月、同じ理由から2014年の財政赤字が6%に悪化する可能性を指摘した。
\ハンガリー政府は、経済成長率を3%、インフレ率を3.5%と仮定して来年度予算を組んでいる。これにより、財政赤字が今年度の3.8%から2.94%に縮小するとの立場だ。しかし、国際通貨基金(IMF)が経済成長率を2.5%と予測するなど、その実現を疑問視する声が上がっている。
\ \■オルバン政権の財政再建策
\ \政府は先月24日、年末をめどに民間年金を政府の管理下に移すことを閣議決定した。民間年金資産を財源に、公的年金を立て直し、財政改善を図る方針だ。3兆フォリント(142億米ドル)に上る民間年金資産のうち、5億4,000万フォリントで公的年金の資金不足を補う。来年の社会保険料増収分3億6,000万フォリントも公的年金の赤字相殺に投入する。残った民間年金資産で、政府の赤字縮小を目的とした特別基金を設置する。
\政府はまた、金融、エネルギー、小売、電気通信の各産業を対象に、期間限定の特別税を導入した。これにより、個人所得減税による歳入減を補い、財政赤字を縮小すると説明している。特別税は少なくとも2014年まで徴収される見通しだ。
\なお、マトルチ経済相は先月23日、8億フォリント規模の歳出削減策を2月末に発表すると告げているが、その詳細は明らかになっていない。(1HUF=0.39JPY)
\