ベラルーシ政府は12月31日、欧州安全保障協力機構(OSCE)のミンスク事務所を同日付で閉鎖すると発表した。同月19日の大統領選挙に不正があったとするOSCE国際選挙監視団の批判に対する返答とみられる。ベラルーシは欧州諸国との関係を強化する試みが失敗したと認識し、ロシアに再接近する戦略に転換したもようだ。
\ベラルーシ外務省は今回の決定について、同事務所を「維持する客観的理由がない」と説明した。これに対し、2011年にOSCE議長を務めるリトアニアのアジュバリス外相は、OSCEの責務がまだ果たされていないと指摘し、ルカシェンコ大統領に事務所閉鎖の見直しを要求。複数の通信社電によると、昨年の議長国であるカザフスタンも同大統領に存続を働きかけた。
\チェコのシュヴァルツェンベルク外相はdpa通信に対し、「ルカシェンコ大統領は選挙後にまず、ロシア政府からの支援約束をとりつけた。今回の措置はそれを踏まえたもので、欧州の援助を必要としないことを公に示す目的」と話している。欧州連合は民主化を条件に30億ユーロ弱の融資を約束。ルカシェンコ大統領はOSCE監視団を正式に受け入れるなど、態度を軟化させていた。しかし、大統領選における不正行為や投票日以降の野党勢力弾圧で、その努力は水の泡となった。
\一方、ロシアのプーチン首相は、ガス・石油の輸送をめぐる対立を避けるため、ベラルーシ、ウクライナ両国との関係正常化に務めている。年初の価格改定でベラルーシへのガス供給価格を1,000立方メートル当たり220米ドルへと30ドル引き上げる姿勢だが、ベラルーシ側はロシアとの関税同盟を根拠にこれを拒否している。この対立がどういう形で決着するかが、両国の力関係を示す指標となりそうだ。
\ベラルーシ経済はエネルギー集約型産業が主体。昨年7%の成長を遂げたが、ロシアからの安価な原油輸入に依存するところが大きい。
\(『東欧経済ニュース』12月22日号「ベラルーシ大統領選挙、ルカシェンコ氏が4選決める」を参照)
\