2011/1/19

総合・マクロ

アゼルバイジャン、欧州ガス供給でEUと合意

この記事の要約

アゼルバイジャンのアリエフ大統領と欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は13日バクーで、アゼルバイジャン産天然ガスの欧州供給を内容とする合意書に調印した。EUが支援するガス・パイプラインプロジェクト「ナブッコ計画」は、こ […]

アゼルバイジャンのアリエフ大統領と欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は13日バクーで、アゼルバイジャン産天然ガスの欧州供給を内容とする合意書に調印した。EUが支援するガス・パイプラインプロジェクト「ナブッコ計画」は、これによって初の供給源を確保したことになり、実現に向けて大きく前進する。具体的な契約は3月までに関係企業の間で結ばれる予定だ。

\

今回の合意でアゼルバイジャンは、ロシアを迂回する供給ルート「南回廊」の整備に着手できるレベルの量の天然ガスを欧州に輸出することを約束した。これと引き換えに、欧州ガス市場への参入機会を得る取り決めだ。カスピ海沖でのシャーデニス天然ガス田の第2期開発で生産が予定される140億~160億立方メートルが欧州に振り向けられる。これにより、EUはナブッコ・パイプライン始動時の輸送量が確保できる見込み。ただ、フル稼働時の輸送能力(310億立方メートル)を満たすには他の国からの追加調達が不可欠となる。トルクメニスタンなどの供給候補国がどう動くかが、ナブッコ計画の成否のカギとなる。

\

「南回廊」は、ロシアへのガス依存を弱める狙いで欧州が整備を進めているもの。ナブッコ計画のほか、◇トルコとギリシャを結ぶパイプラインをイタリアまで延長するITGI計画◇アドリア海横断パイプライン計画(TAP)◇カスピ海産ガスをルーマニア経由でウクライナまで輸送するホワイトストリーム計画――で構成される。

\

EU諸国はガス輸入のおよそ40%をロシアに頼る。バルト3国やフィンランド、スロバキア、ブルガリアなど、輸入の全てをロシアに依存する加盟国もある。

\