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2011/3/9

ロシア

鉄鋼大手の露セベルスタリ、米国の3製鉄所を売却

この記事の要約

ロシアの鉄鋼大手セベルスタリは2日、米国に保有する3つの製鉄所を米持ち株会社レンコ・グループに売却することで合意したと発表した。\ 売却するのは、スパローズポイント(メリーランド州)、ウォレン(オハイオ州)、ウィーリング […]

ロシアの鉄鋼大手セベルスタリは2日、米国に保有する3つの製鉄所を米持ち株会社レンコ・グループに売却することで合意したと発表した。

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売却するのは、スパローズポイント(メリーランド州)、ウォレン(オハイオ州)、ウィーリング(ウエストバージニア州)の3製鉄所。レンコは現金と担保証券で2億2,500万米ドルを支払うほか、3億1,700万ドルの第三者債務と6億5,000万ドルの従業員・環境関連債務を引き受ける。

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セベルスタリは北米での生産能力を強化するため、3製鉄所を2008年5月から8月にかけて総額21億ドルで買収したが、リーマンショック後の鉄鋼価格の下落により業績が低迷していた。今回の売却により、セベルスタリの北米での生産能力は55%減少する。

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セベルスタリは北米事業の再編を進めており、昨年5月にノーザンスチールグループを米投資会社エスマークに1億2,400万ドルで売却している。

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■10年第4四半期、通期は赤字に

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セベルスタリが3日発表した2010年10-12月期連結決算は、売上高が前期比7.5%増の37億2,600万米ドル、利払い・税・償却前利益(EBITDA)が6.4%増の8億9,900万ドルだった。ただ、最終損益は米国事業と伊製鉄子会社ルッキーニの不振が響き、3億5,200万ドルの赤字となった。赤字幅は前期から1,600万ドル縮小したものの、前年同期からは1億9,000万ドル拡大した。

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10年通期でも、米国の製鉄所の運転中断で19億4,000万ドル、ルッキーニの経営不振で5億7,700万ドルの損失を出し、5億7,700万ドルの赤字となった。ただ、赤字幅は09年の10億3,700万ドルからほぼ半減した。10年の売上高は前年比41.5%増の135億7,300万ドル、EBITDAは32億6,300万ドルで倍増した。

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不採算事業の整理、再建のため、セベルスタリは昨年6月にルッキーニの株式50.8%を、自社のモルダショフ最高経営責任者(CEO)に1ユーロで売却した。残る49.2%も手放す計画だ。米国事業については2日に明らかにしたように、3つの製鉄所を売却し、事業再編と業績改善を目指す。

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同社は今年について、景気回復で生産量、販売量が増加すると予想。鉄鋼価格は原料価格の上昇と仕入れ増で高水準が続くとの見通しを示した。ロシアとCIS諸国では鉄鋼需要が前年から8%増加すると見込んでいる。

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