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2011/3/9

ロシア

ガスプロム、TNK-BPからコビクタ・ガス田を取得

この記事の要約

ロシア国営ガス企業ガスプロムはこのほど、英石油大手ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)のロシア合弁会社TNK-BPから東シベリア(イルクーツク州)のコビクタ・ガス田を取得した。買収額は223億ルーブル(7億7,700万米 […]

ロシア国営ガス企業ガスプロムはこのほど、英石油大手ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)のロシア合弁会社TNK-BPから東シベリア(イルクーツク州)のコビクタ・ガス田を取得した。買収額は223億ルーブル(7億7,700万米ドル)。ロシア最大級の埋蔵量(1兆9,000億立方メートル以上)を誇る同ガス田は中国国境に近く、将来的に中国への輸出を大幅に拡大できる下地が整ったことになる。

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ガスプロムは今回、コビクタ・ガス田の権益を所有するTNK-BPの子会社ロシア・ペトロリアムの資産を競売で落札した。ロシア・ペトロリは昨年6月、ガス田開発のためTNK-BPから借り入れた資金の返済が不可能になったとして、破産手続きを申請。10月に自己破産が確定した。ガスプロが買収する資産の中にコビクタ・ガス田の事業免許は含まれていないが、ロシア天然資源監督局によると、ガスプロムは買収完了後、連邦地下資源利用庁に事業免許の再発行を申請できるという。

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今回の取引の背景には、天然ガス輸出事業を国営ガスプロムの独占事業にしたいというロシア政府の思惑がある。天然資源監督局は数年前から、ロシア・ペトロリアムに対し、同ガス田の産出量が権益取得時に定められた90億立方メートルを大きく下回っているとして、規定量に引き上げなければ事業免許を取り消すと警告。これに対し、ロシア・ペトロリアムは、規定量を産出できないのは、当初予定していた中国への輸出がガスプロムによる妨害で凍結状態となっているためと反論していた。2007年に、TNK-BPがロシア・ペトロリアムの持ち株をガスプロムに売却することで一旦は基本合意したが、取引価格で折り合いがつかず交渉は暗礁に乗り上げていた。

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