カザフスタン政府は原子力発電所の建設計画を堅持する方針だ。ツルガノフ産業・新技術副相は16日にアスタナで開かれた専門家会議で、カザフスタンに原発設置の前提条件がそろっているのは「アラーの思し召し」とし、東日本大震災に起因する福島原発事故の影響を考慮しても計画を変更する必要はないと言明した。
\ツルガノフ副相はカザフスタンが原料ウランの埋蔵量で世界2位、生産量で第1位にあることを指摘。人口密度が低い同国では安全性を確保した立地が可能との見解を示した。一方で、プロジェクトの選定に当たっては厳密を期し、安全性に大きな注意を払わなければならないと付け加えた。
\原子力公社のカズアトムプロムは、原子力発電の世界的需要が高まっていることを受け、ウラン鉱石の採鉱から燃料への加工、発電、使用済み燃料の再処理、核廃棄物の処分までを一貫して手がける核燃料サイクルを構築する目標だ。2020年の実現を目指し、原発設置も計画している。
\同社は自前のウラン鉱山を保有し、カナダのカメコ、フランスのアレバ、東芝、ロシア原子力公社(ロスアトム)など外国企業と合弁事業を展開している。
\カザフスタンの国土面積は日本の約7倍にあたる272万4,900平方キロメートルで、人口は1,580万人(2010年)。国内の東部・北東部から南西部のキルギスタン国境にかけて地震の危険性が高い地域を有する。ソ連時代には北西部にセミパラチンスク核実験場があったほか、カスピ海沿岸アクタウ(旧名シェフチェンコ)で原発が操業されていた。
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