2011/6/15

ロシア

キリン、モスクワ近郊のビール会社に「一番絞り」を生産委託

この記事の要約

キリンビールはこのほど、ロシアの中堅ビール醸造会社であるモスクワ・ビール・カンパニー(MBC)との間で、主力商品「一番絞り」のライセンス生産に関する20年契約を結んだ。2006年からハイネケングループに属するイワンタラノ […]

キリンビールはこのほど、ロシアの中堅ビール醸造会社であるモスクワ・ビール・カンパニー(MBC)との間で、主力商品「一番絞り」のライセンス生産に関する20年契約を結んだ。2006年からハイネケングループに属するイワンタラノフのカリーニングラード工場に生産委託していたが、ロシア市場での地歩を確保したと判断。モスクワ市郊外のミチシを拠点とするMBCに提携先を切り替えた。日本食レストランや美食家をターゲットとしている。

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MBCは1994年にビール、ノンアルコール飲料の輸入会社として設立された。2008年に醸造事業を開始し、ドイツの「エティンガー」では期間40年、デンマークの「ファクセ」では25年のライセンス生産契約を獲得している。「一番絞り」は7種類目の受託生産となる。

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MBCの年産規模は250万ヘクトリットルと、国内最大手のバルティカ(カールスバーググループ)の520万ヘクトリットルに大きく水を開けられている。しかし、ソ連末期の伝説となった居酒屋「ジグリ」のハウスビール「ジグリ・バルノエ」がモスクワで大ヒットするなど、ニッチ市場で存在感を発揮している。「ジグリ・バルノエ」は、瓶やラベルで60年代をほうふつとさせるデザインを採用する一方、味は改良。懐古趣味と現代に通用する品質を組み合わせたことが大成功につながった。

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ロシアのビール市場は過去10年間で40%の急成長を記録した。しかし、2008年の1億1,000万ヘクトリットルをピークに現在は1億ヘクトリットル弱まで縮小している。ビール税の大幅な引き上げなど、アルコール飲料の消費抑制を目指す政府の方針もあり、市場は今後、縮小はしても拡大することはないと予測されている。

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