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2011/7/6

ロシア

モスクワ銀救済に過去最大の98億ユーロを投入

この記事の要約

ロシア中央銀行は1日、国内5位の金融機関であるモスクワ銀行に対し、預金保険公社が2,950億ルーブル(98億ユーロ)の巨額融資を実行すると発表した。融資残高の3分の1近くを不良債権が占める同行の経営体制を建て直す目的だ。 […]

ロシア中央銀行は1日、国内5位の金融機関であるモスクワ銀行に対し、預金保険公社が2,950億ルーブル(98億ユーロ)の巨額融資を実行すると発表した。融資残高の3分の1近くを不良債権が占める同行の経営体制を建て直す目的だ。親会社のVTBも1,000億ルーブルを追加投資し、持ち株比率を46.5%から75%に引き上げる。

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預金保険公社による金融機関の救済措置として過去最大の規模となる。期間は10年で金利は市場水準を大幅に下回る0.51%に設定された。

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業界専門家は、財務の不透明さは同行に限ったことではなく、今後も買収を機に問題が明るみに出るケースがあるとみる。金融機関に対する公的規制や金融システムの在り方にも議論が広がりそうだ。

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モスクワ銀行は10万社強の法人顧客と900万人の個人顧客を持ち、381支店を展開する。国内2位のVTBが今年2月の敵対的買収を通じて経営権を握った。これを機に行われた中銀による財務調査で、債務残高210億ユーロの3分の1近くが不良債権であることが明らかになったという。

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同行はもともと、昨年更迭されたルシコフ前モスクワ市長が設立したもので、ルシコフ夫人が経営する建設会社に巨額の資金を貸し付けていた。ルシコフ夫人に3億2,000万ユーロを不正に融資したとして国際逮捕状が出されているボロディン元頭取は、逃亡先のロンドンから、「不良債権の存在が主張されているだけで、それが事実かどうかは不明だ。4月の頭取解任と同様、モスクワ銀に対する救済策自体が政治的策略なのでは」とコメントを出している。

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VTBはズベルバンク、ガスプロムバンクと合わせて国内金融市場で60%のシェアを占める。モスクワ銀の取得でリテール事業の強化を図り、最大手のズベルバンクを追撃中だ。

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