2011/9/14

チェコ・スロバキア

チェコ政府、原発の大幅拡大を計画

この記事の要約

チェコ政府が原子力発電事業の大幅な拡大を計画している。ロイター通信が8日、同国産業貿易省の政策草案を基に報じた。同草案によると、チェコは、複数の原子炉を新設し、エネルギー需要に占める原発のシェアを2060年までに80%に […]

チェコ政府が原子力発電事業の大幅な拡大を計画している。ロイター通信が8日、同国産業貿易省の政策草案を基に報じた。同草案によると、チェコは、複数の原子炉を新設し、エネルギー需要に占める原発のシェアを2060年までに80%に引き上げる方針だ。背景には、福島原発事故を機に脱原発を決めた隣国ドイツへの電力輸出を増やしたいという思惑や、国内産業の競争力確保という目的がある。マルチン・コツォウレク産業貿易相はロイターに対し、「原発は安価なエネルギー源として不可欠。再生可能エネルギーだけでは不十分だ」と語っている。

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草案では、国内外の電力消費量の増大に伴う原発シェア引き上げのシナリオを3つ用意した。最も極端な場合、現在3.78ギガワット(GW)の原発の発電能力を2060年までに18.69GWに拡大する。他の2つのシナリオではいずれも13.89GWに引き上げるとした。具体的には、国内にあるテメリン原発を2062年、ドゥコヴァニー原発を2045年まで稼働させるほか、将来的にそれ以外の3カ所に原子炉を新設することを計画している。ただ、隣国のドイツとオーストリアは原発に反対しており、チェコの原発新設に圧力をかける可能性は高い。

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チェコでは現在、発電能力の約3分の1を原発が占める。国営電力会社CEZが国内唯一の原発事業者で、テメリン原発とドゥコヴァニー原発で計6基の原子炉を運転している。CEZは今後、テメリン原発で2基、ドゥコヴァニー原発とスロバキアで合わせて最大3基の原子炉を新設する計画で、テメリン原発の原子炉増設の入札には東芝傘下の米ウエスチングハウスや仏アレバ、ロシアのアトムストロイエクスポルトと地元のシュコダJSの国際企業連合などが名乗りを挙げている。

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