2011/10/26

ロシア

米ムーディーズ、ロシア銀行業界の見通しを「ネガティブ」に引き下げ

この記事の要約

米格付け大手のムーディーズは24日、ロシア銀行業界の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。世界経済の減速への懸念が背景にある。\ 今回の見通しは今後10~18カ月の与信条件に関連するもの。ムーディーズは、 […]

米格付け大手のムーディーズは24日、ロシア銀行業界の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。世界経済の減速への懸念が背景にある。

\

今回の見通しは今後10~18カ月の与信条件に関連するもの。ムーディーズは、世界景気の低迷と欧州債務危機の影響で、◇流動性低下◇新規融資の減少◇銀行資産の質向上に向けた圧力が上昇――といった事態が引き起こされると予測する。これが信用収縮につながる恐れがあるため、見通しを引き下げたと説明している。

\

ロシア銀行業界は世界市場の動向に影響されて預金者の信頼が低下し、資産の質が劣化しつつある。また、伝統的にコーポレートガバナンスが弱く、市場規制が不足していることも足を引っ張っている。ムーディーズによれば、◇世界市場の混乱◇銀行間取引市場へのアクセス減少◇資本流出の継続◇通貨ルーブル下落への圧力の高まり――で、業界の流動性がすでに不足しつつある。

\

ルーブルの対米ドル為替相場は先月、10%下落した。1カ月の低下幅としては2009年1月以来で最も大きい。株価も過去数カ月で大きく値を下げている。

\

ムーディーズではロシアの経済成長率は今年の3.8%から来年には2.8%に低下すると予測。プーチン首相が先週示した見通し(4%超)よりも低く見積もっている。

\

ロシア金融業界の強みは政府による支援が期待できることだ。中央銀行はすでに金融調節を通じて市場に介入しており、今月12日には翌日物レポ取引市場に、09年2月以来で最大の3,970億ルーブル(130億ドル)を投じた。

\

専門家の多くはまた、2008年に比べて業界は力を蓄えており、今回の危機を切り抜けられるとみている。

\

一方で独立系銀行格付け会社のロスレーティングは、2008年危機の本当の原因はグルジア侵攻で投資家が強い疑念を抱いたためだと指摘。「国際市場の状況がどうであろうと、ロシアに不安を媒介するような要素がなければ影響はない」とし、「国内の施策が今後の成り行きを左右する」と警告している。

\