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2012/1/11

ロシア

パイプライン敷設計画から撤退でブルガリアに賠償請求を検討

この記事の要約

ロシア政府は、「ブルガス-アレクサンドロポリス・パイプライン」敷設計画から撤退したブルガリアに賠償を求めることを検討している。ブルガリア政府は先月7日、資金難と環境汚染のリスクを理由に、ロシア、ギリシャ政府と締結した当該 […]

ロシア政府は、「ブルガス-アレクサンドロポリス・パイプライン」敷設計画から撤退したブルガリアに賠償を求めることを検討している。ブルガリア政府は先月7日、資金難と環境汚染のリスクを理由に、ロシア、ギリシャ政府と締結した当該計画の3カ国合意を破棄すると発表した。ロシアのシマトコ・エネルギー相は、計画が3カ国の国益に適う平等な合意であると強調したうえで、ブルガリアの撤回に対しての法的評価を検討していることを明らかにした。

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ロシア政府の試算によると、ブルガリアは11月末で当該プロジェクトに620万ユーロの債務を抱えている。最終的な請求金額は3カ国のこれまでの資金負担比率などから算出するが、ブルガリア政府は相応の賠償を求められる可能性がある。

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ブルガリアの現政権は2009年の発足当時から、「ブルガリアに不利な計画だ」として反対していた。パイプラインの輸送能力は契約で年3,500万トンと決められており、ブルガリアのトランジット収入はせいぜい2,600万ユーロにすぎない。一方、少なくとも年40億ユーロに上る同国の観光収入は、パイプラインが通過する予定の黒海沿岸地域に依存している。同地域がパイプラインの原油漏れ事故などで汚染された場合、観光事業は大きな痛手を受けることになる。このため黒海沿岸の自治体も、当初から敷設反対運動を繰り広げてきた。

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ブルガリア政府は計画から撤退した後も2007年の合意に従い、3カ国が出資した合弁会社「トランス・バルカン・パイプライン」に対する債務1,200万レフ(600万ユーロ)を支払う方針だ。ただ撤退を理由に罰金を払う義務はないとの立場を取っている。

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