中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2012/1/18

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

オーストリア・テレコム、ブルガリア通信大手に食指

この記事の要約

ブルガリア電気通信2位のビバコムの買収にオーストリア・テレコムが関心を示している。実現すれば、固定通信市場への参入が成るほか、グループ事業拡大に結びつくからだ。ただ、社内にも反対論があるほか、他にも買収を検討する企業があ […]

ブルガリア電気通信2位のビバコムの買収にオーストリア・テレコムが関心を示している。実現すれば、固定通信市場への参入が成るほか、グループ事業拡大に結びつくからだ。ただ、社内にも反対論があるほか、他にも買収を検討する企業があり、オーストリア・テレコムが獲得できるかは明らかでない。

\

テレコム・オーストリアは2005年にブルガリア移動通信企業モビルテルを16億ユーロで買収し、国内最大手に育て上げた。顧客数は520万人で売上高は5億ユーロを超える。ビバコムを取得すれば、固定電話市場への参入が果たせ、既存事業との相乗効果も期待できる。

\

一方で、ベラルーシ事業が同国通貨ルーブルの切り下げでグループの財務を大きく圧迫していることから、社内には新たな負担を避けるべきとの意見もある。オーストリア・テレコムは4年前にベラルーシのベルコムを14億ユーロで買収した。

\

ビバコムの買収には昨年11月末の時点で、トルコのトゥルクセルおよびトルコ・テレコム、ブルガリアのメディア王のツヴェタン・ヴァシレフ氏が取得に関心を示している。ヴァシレフ氏は企業連合での買収を計画している。

\

現株主の李澤楷氏からビバコムの売却業務を受託したモーガン・スタンレーは、今年3月末までの取引完了を目指している。ビバコムは16億5,000万ユーロに上る巨額債務を負っており、売却先の決定に当たっては取引額よりも買収者による債務の引き受けが焦点となる見通しだ。

\

なお、オーストリア・テレコムはビバコム買収の障害となる市場寡占の問題について、買収のあかつきには事業を再編し、2年後をめどに移動通信事業を売却することで解決する意向だ。

\