独エネルギー最大手RWEが、カスピ海の天然ガスをトルコからオーストリアへ輸送する『ナブッコ』パイプラインプロジェクトへの出資を見直しているもようだ。ドイツ版ウォールストリートジャーナル紙の17日付インタビュー記事で、グロースマン社長は「数十億もかかるパイプラインの建設に何がなんでも出資する必要はない。重要なのはカスピ海のガスがドイツに届き、RWEが十分な量を確保することだ」と語った。
\グロースマン社長はまた、「当社の投資をできるだけ少なくできるような方法は全て喜ばしい」と発言。昨年9月末、独バイエルンガスが『ナブッコ』への出資意志を表明し、現在、出資グループとの交渉を進めているが、RWEの出資分を一部あるいは全て引き取る可能性もありそうだ。『ナブッコ』には、RWEのほか墺OMV、ハンガリーのMOLなどエネルギー企業6社が各16.67%ずつ資本参加している。
\出資見直しを示唆する発言の背景には、RWEの経営状況の悪化やナブッコの投資コストが予想以上に膨らんでいることがあると見られる。昨年、電力価格低下とガス長期調達契約に伴う損失に加え、ドイツの原発稼働延長政策が福島原発事故後に撤回され、一部の原発の運転停止を余儀なくされ、大幅なコスト削減も図ったが約3割の減益となった。欧州連合(EU)の助成金を受けた『ナブッコ』の投資額は公式には約80億ユーロだが、専門筋はその2倍のコストがかかると見ている。
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