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2012/2/8

ポーランド

11年の対ポーランドFDI、120億ユーロに拡大

この記事の要約

2011年の対ポーランド外国直接投資(FDI)は2008年以降で最大の約120億ユーロに達したもようだ。経営人材を含め、国民の能力が高いことが魅力となっているほか、投資奨励措置もプラスに働いている。今年は前年比で8~10 […]

2011年の対ポーランド外国直接投資(FDI)は2008年以降で最大の約120億ユーロに達したもようだ。経営人材を含め、国民の能力が高いことが魅力となっているほか、投資奨励措置もプラスに働いている。今年は前年比で8~10%の増加が見込まれる。

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国別では米国、日本、中国、フランス、韓国が上位を占めた。業界別では自動車、機械・設備、電子、情報通信、業務受託サービスが多かった。今年は食品、化学業界でも投資の増加が見込まれている。

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投資判断では、能力の高い人材の豊富さが有利に働いている。一方、官僚主義や税制の複雑さ、交通インフラ整備の遅れが足を引っ張る。ただ、交通インフラについては今年の欧州サッカー選手権開催に向けて急ピッチで高速道路が建設されるなど、改善が目立つ。

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投資家にとっては、建設用地の整備が進んでいることもプラス材料だ。通貨ズロチの相場下落で用地買収コストも低下し、ポーランドにとっては有利な状況となっている。

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自動車業界では国内14カ所の経済特別地区での投資が多い。新規プロジェクトの総額では、南西部のヴァウブジフ経済特区が1位だった。

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一方、南部のカトヴィツェ経済特区は、起亜のスロバキア工場に近い地の利から自動車部品メーカーの関心が高い。韓国と日本の企業を中心に工場設置が計画されている。今年は昨年よりも多い投資を呼び込める見通し。

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中部のウッジ経済特区は今年の投資額が昨年を20%上回ると予想する。予定されるプロジェクト数は30件、総額1億ズロチで、1,300~1,400人の雇用創出が見込まれる。ウッジは高速道路A1号線とA2号線が交差する地点に位置し、建設工事が完了するとウクライナ、ベラルーシ、ロシアへの交通の便が向上する。これが同地の魅力を高めている。

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北部のポモージェ経済特区では物流センターの誘致が盛んになりそうだ。国別では中国からの投資が主になる見通し。

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現行法によると、ポーランドの経済特区は2020年に廃止される。経済省がクラスターに改編した上で存続させる意向なのに対し、財務省はこれに反対しており、その将来は不透明だ。

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事業受託サービスの立地としてポーランドの人気は高い。ブルガリア、ルーマニア、トルコ、中東諸国と競合している。他方、プラハやブダペストはすでにコストが高くなりすぎ、競争力を失った。

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米ネットワーク機器メーカーのシスコが南東部クラクフに設置する技術サポートセンターは500~700人を雇用する見通しだ。ロシアのソフト開発大手、ルクソフト(Luxoft)もクラクフ経済特区内のテクノロジーパークにITセンターを設置。200人を雇用する予定だ。

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今後18カ月にポーランドで投資を予定する業務受託事業者10~15社のうち、3分の1は研究開発(R&D)拠点の設置を計画する。未確認情報によると、これらの企業には米国のクエストやマイクロソフト、インテル、3Mが含まれるという。

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一方で国内最大の飛行機部品メーカーであるWSK PZLジェシュフは、南東部に位置する航空産業集積地「アビエーション・バレー」に2億1,300万ズロチを投じてR&Dセンターを設置することを決めた。このうち8,100万ズロチは欧州連合(EU)の助成でまかなう。

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政府は今年初め、サムスン電子、米国のピッツバーグ・グラス・ワークス(PGW)、TJXに対して総額1,500万ズロチの助成を決定した。これに加えて数百万ズロチ規模の税優遇措置も適用される。(1PLN=24.12JPY)

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