スロバキアで10日実施された国民評議会選挙で、フィツォ前首相が率いる中道左派政党「スメル(道標)」が得票率を9.9ポイント増の44.4%に伸ばして大勝した。これは体制転換後で最高の水準。定数150のうち過半数の83議席を手中に収め、単独政権を発足させる見通しだ。
\中道右派の連立政権が汚職問題で大きく票を減らしたことが有利に働いたほか、投票率が予想を上回る60%弱に上ったことが勝利につながった。2010年6月の前回選挙でも62議席を占め第一党となったが、連立パートナーであったスロバキア国民党(SNS)と合わせた議席数が過半数に満たず、下野した経緯がある。
\今回は単独で過半数を抑えたが、憲法改正に必要な6割の議席には7議席届かなかった。連立の呼びかけに応じる政党がなく、単独で内閣を発足させることになりそうだ。公約に掲げた社会保障の拡充や、累進課税の再導入に取り組むとみられる。
\連立与党4党のうち、議席を拡大したのは汚職問題の解明に尽力したリプシッチ内相が所属するキリスト教民主運動(KDH)だけで、改選時の15から16に増やした。
\ラディツォバー首相とズリンダ外相が所属するスロバキア民主・キリスト教連合(SDKU)は、改選時の17から11に大きく減らした。
\ユーロ圏の財政危機国を救済する欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充承認案に反対してラディツォバー内閣退陣を招いた「自由と連帯(SaS)」は11議席に半減。それでもスリーク党首は結果に満足の意を表明した。
\ハンガリー人政党の「架け橋(Most-Hid)」は1議席減らして13議席となった。
\なお、SaSから除名されたマトヴィッチ議員が率いる新党「OLaNO」は16議席を獲得した。
\スロバキアでは昨年末に諜報当局の秘密文書「ゴリラ文書」が漏れ、10年以上前から数多くの政治家と地元の投資会社ペンタ・インベストメンツが癒着していたという汚職疑惑が強まっている。(東欧経済ニュース2011年10月19日号「スロバキア、暫定内閣発足に向けて党派間会合」を参照)
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