ポーランドは18日に欧州連合(EU)が開いた環境相理事会で、二酸化炭素(CO2)排出権取引制度の大幅な改革と、製造業および発電事業者の負担軽減を求める公式見解書を提出した。また、排出権の市場取引量を制限することに対しても反対する姿勢を確認した。欧州委や欧州議会、英国など古くからのEU加盟国の意向に真っ向から対立するもので、今後の交渉の難航が予想される。欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は、取引制度改革案の年内提出を目指している。
\排出権の取引量を制限する案は、1トン当たりの取引価格が6~9ユーロに下落していることを受けて浮上した。省エネ設備の導入に企業を動かすためには一定の価格の維持が必要との見方に立つもので、欧州委は20ユーロ、環境保護団体は35~40ユーロが妥当とみている。
\これに対しポーランド政府は、取引価格の下落は欧州債務危機による経済の不振に起因すると解釈している。また、排出権取引制度によって排出量の上限は定められており、市場価格を引き上げても排出量の削減にはつながらないとの立場だ。企業に省エネ投資を促すのならば、他の措置が必要と主張する。
\一方で、ポーランドは国内の発電事業者に対する排出権の無料割り当てを継続し、製造業者には無料排出枠を広げる意思を示した。根拠として、現行の取引制度が、火力発電用燃料の約90%を石炭に依存するポーランドに不利であることを指摘している。制度の根本的改革が成れば、環境目標の厳格化にも応じる姿勢だ。
\ポーランドの強硬反対を受けて、排出権取引制度改革の議論は6月の欧州首脳会議に持ち越されることとなった。エネルギー効率の改善や再生可能エネルギー利用の拡大といった他の問題と組み合わせた形で解決を図る方向になりそうだ。
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