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2012/4/25

ポーランド

ポーランド、年金改革法案を閣議決定

この記事の要約

ポーランドのトゥスク首相は20日、支給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革法案を閣議決定したと発表した。社会の高齢化を視野に、年金支出の増加を抑制して制度の維持を図る狙い。26日の下院で審議が始まる見通しだ。\ 法案は( […]

ポーランドのトゥスク首相は20日、支給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革法案を閣議決定したと発表した。社会の高齢化を視野に、年金支出の増加を抑制して制度の維持を図る狙い。26日の下院で審議が始まる見通しだ。

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法案は(1)支給開始年齢を現在の男性65歳、女性60歳から段階的に一律67歳に引き上げる(2)早期退職制度の導入(3)軍人・警官など「制服」公務員の年金受給要件を厳格化――を骨子とする。

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(1)では2013年から引き上げを開始し、男性は2020年、女性は2040年に67歳となる。

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(2)は、男性は65歳以上で年金加入年数が40年以上、女性は60歳以上で35年以上の場合に規定額の半分を受給できる。

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(3)は最低勤続年数を現行15年から25年に延長し、55歳以上で支給を開始する。支給額は10年間でみた平均給与の最高額の75%とする。6月の欧州サッカー選手権でのストライキを防止するため、新規採用者からこの規定を適用する。

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トゥスク首相は昨秋、2期目の所信演説で年金改革の実施を予告した。野党の「法と正義(PiS)」、民主左翼連合(SLD)のみならず、連立与党の農民党(PSL)も反対し、法案策定が難航した。最終的には早期退職制度の導入で妥協が成立し、閣議決定にこぎつけた。

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政府によると、ポーランドは出生率が低下する一方で平均寿命が伸びており、将来的に労働力が不足することが確実視される。2042年には50歳以上の国民が半数を超える見通しだ。

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国民も現行の年金制度の存続を危ぶんでいるようだ。世論調査機関「ホモ・ホミニ」の調べによると、「現行システムは破たんする」と考えている人は27%に上り、「根本的な改革が必要」とする人も28%に達した。一方で、「現行のままで維持可能」という人は8%、「部分的改革で足りる」とした人は21%だった。(東欧経済ニュース4月4日号「年金改革案に反対、数万人が抗議行動」を参照)

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