チェコのネチャス首相(市民民主党:ODS)は23日、下院で27日に信任投票を実施する方針を明らかにした。財政赤字削減策に対する国民の反発が高まる中、下院の信任を取り付けることで政策実行の地盤を固める狙い。政権を構成していた「公共問題(VV)」の有力議員が汚職で有罪判決を受けたことを理由に18日付で連立を解消することもあり、VV離脱議員を含めて過半数の信任を得られるかが焦点となる。否決されれば解散・選挙となり、社会民主党や共産党の勝利が予想される。
\首都プラハでは21日、政府の財政緊縮案に反対する10万人規模の抗議集会が開かれた。来年と再来年に赤字削減目標の半分を増税で達成するという政府の計画が、「増税なしの財政健全化」を誓った選挙公約に反するというのが反対派の主張だ。世論調査によると国民の3分の2が下院の即時解散・選挙を支持している。
\一方、VVの事実上のトップであるバルタ議員は今月13日、議員の票を得るために賄賂(わいろ)を支払ったとして有罪の宣告を受けた。同議員は判決を不服として上告する方針だが、ペアケ副首相など複数のVV議員がすでに離党した。
\VV以外の連立与党であるODSと「TOP 09」の議席数は合わせて93で、過半数の確保にはさらに8人の議員が賛成に加わる必要がある。ネチャス首相によると、ペアケ副首相らVV離脱組10人が首相を支持する方向という。
\信任案が否決されれば、6月にも選挙が実施される。世論調査機関CVVMが18日発表した最新の調査結果によると、無党派を除けば支持率が最も高いのは社民党で、以下、共産党、ODS、TOP 09と続いた。VVは阻止条項により議席が獲得できないレベルにとどまった。選挙での投票率が世論調査の結果と同じと仮定すると、社民党と共産党の左派連立で過半数が確保できる計算となる。
\欧州債務危機の影響で、欧州連合(EU)ではすでにアイルランド、ポルトガル、ギリシャ、イタリア、スペイン、スロベニア、スロバキア、フィンランドの8カ国で政権が交代した。オランダでも連立政権が崩壊して選挙の実施が決まっている。
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