中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2012/5/16

総合・マクロ

ウクライナ、TANAP計画への参加に意欲

この記事の要約

ウクライナが、トルコとアゼルバイジャンが共同で取り組むトランス・アナトリア・ガスパイプライン(TANAP)敷設計画への参加を希望している。アザロフ首相が訪問中のアンカラで発表した声明によると、資金的支援のほか、パイプおよ […]

ウクライナが、トルコとアゼルバイジャンが共同で取り組むトランス・アナトリア・ガスパイプライン(TANAP)敷設計画への参加を希望している。アザロフ首相が訪問中のアンカラで発表した声明によると、資金的支援のほか、パイプおよびコンプレッサー・ステーションの納入に意欲を示している。現在、ロシアから欧州へのガス輸送に使われている自国パイプラインを、アゼルバイジャンのガスを欧州経由で輸入するために利用するのが狙いだ。これに向けて、アゼルバイジャンとも交渉を進めている。

\

ウクライナはロシアへのガス依存を弱めるため、調達先の多様化を目指している。報道によると、アゼルバイジャンからは年間150億立方メートルを輸入する意向だ。2014年の完成を目指す黒海沿岸液化天然ガス(LNG)ターミナルを通じて国内に供給する。

\

また、ウクライナのナフトガスは、欧州の割安なガスをスロバキアのパイプラインを経由して輸入する方向で、独RWEと契約締結を予定しているという。

\

TANAPは、英BPがオペレーターを務めるカスピ海のシャハ・デニースガス田IIのガスをグルジア、トルコを経由して欧州に輸送するプロジェクト。全長は2,000キロメートルに上る。トルコ国境から欧州までは、欧州連合(EU)のナブッコ計画を縮小した西ナブッコ・パイプライン、BPやスタットオイルなどシャハ・デニースガス田の運営事業者が計画する南東欧パイプライン(SEEP)に接続して輸送することが考えられる。パイプライン以外にも、黒海を輸送路としてルーマニアにLNG、ブルガリアに圧縮天然ガス(CNG)を運ぶプロジェクトなどがあり、選択肢は多い。

\

TANAPの年間輸送能力は2017年の稼動時に160億立方メートル、フル稼働時に300億立方メートルを予定する。トルコがこのうち60億立方メートルを購入し、残りが欧州向けとなる見通しだ。建設費は50億~70億米ドルと見積もられている。

\