国際貿易機関(WTO)加盟で自動車輸入関税の引き下げを約束したロシア政府が、新たな輸入障壁を導入する。輸入業者に廃車料の支払いを求めるもので、結果として加盟前よりも輸入コストが高くなる見通しだ。
\現地専門誌などが通産省の計画として伝えたところによると、輸入業者は税関で関税に加えて廃車料を納めなければならなくなる。その額は乗用車で2万4,000~59万6,000ルーブル(615~1万5,266ユーロ)、トラックでは13万5,000~160万ルーブルにも上る。40トントラックの新車輸入では1万5,000~110万ルーブルになるという。
\通産省は自動車による環境負荷と廃車コストを理由に挙げるが、国内メーカーは自社で廃車を行うと保証すれば免除されることになっており、国内産業保護の意図が明らかだ。金額も同様の制度を採用する他の国よりも高額という。
\ロシアで現地生産する外国メーカーも例外ではなく、輸入車に対しては支払いが求められる。フォルクスワーゲンの現地子会社では、同じブランドなのに「現地生産車は回収するが、輸入車は回収できないなどとお客様に説明できない」と頭を抱える。また、業界で独自のリサイクリングシステムを構築することに賛成の立場だが、その場合、輸入車も廃車対象にならないと意義がないと話している。
\ロシアのWTO加盟は7月の下院における批准を経て、秋にも実現する見通し。しかし、政府にとってWTOの目的である自由貿易・公正競争は、国内産業の保護に比べればあまり価値がないようだ。
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