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2012/5/30

ロシア

TNK-BPの株主対立が先鋭化、フリードマン社長辞任へ

この記事の要約

露英資本の石油大手TNK-BPにおける株主の対立が先鋭化している。大株主の一人であるミハイル・フリードマン氏は28日、来月に同社社長を辞任する意向を明らかにした。しかし、これはフリードマン氏の妥協を示すものではなく、新た […]

露英資本の石油大手TNK-BPにおける株主の対立が先鋭化している。大株主の一人であるミハイル・フリードマン氏は28日、来月に同社社長を辞任する意向を明らかにした。しかし、これはフリードマン氏の妥協を示すものではなく、新たな対決に備えた決断のようだ。エネルギー消息筋は「出資を続ける限り、フリードマン氏が事実上の社長にとどまる。今回の辞任は嵐に備えて船を固定するようなもので、形式上、経営から退くだけのこと」とコメントしている。

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TNK-BPの資本構成は英BPとロシアの投資家グループAARが各50%。しかし、両陣営は経営方針をめぐって対立を続けている。2008年にはTNK-BPのダドリー社長(当時)が国外退去になり、昨年にBPが計画したロスネフチとの大型提携はAARの抵抗で白紙となった。現在もロスネフチとの契約がTNK-BPの合弁契約に違反していたかどうかをめぐり商事仲裁機関で調停手続きが進められている。

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昨年末に社外取締役2名が辞任して以来、TNK-BPの経営は新たな危機に直面している。社外取締役1名は後任が決まっておらず、TNK-BPは先週、決定機関の定数不足を理由に配当延期を発表したばかりだ。この状態は年末近くまで続くと予想される。

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調停の次回審問は今年10月以降に行われる見通しだ。AARの主張が通ってTNK-BPの合弁契約違反が認定されれば、BPは50億~100億米ドルの損害賠償を求められる可能性が強まる。

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