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2012/8/8

チェコ・スロバキア

チェコのソーラー業界が苦戦、税負担と価格競争で

この記事の要約

チェコのソーラー業界が苦境に陥っている。アジアからの安価な製品の流入に加え、2010年に導入された太陽光発電電力への売上税(税率:26%)が財務の重い負担となっているからだ。業界企業の多くが減益や赤字決算を余儀なくされ、 […]

チェコのソーラー業界が苦境に陥っている。アジアからの安価な製品の流入に加え、2010年に導入された太陽光発電電力への売上税(税率:26%)が財務の重い負担となっているからだ。業界企業の多くが減益や赤字決算を余儀なくされ、大手企業も減員の計画を明らかにしている。

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チェコ太陽光発電産業協会(CHEPHO)によると、アジア企業との競争を受けて、企業レベル・業界レベルでの再編が必要となっている。また、チェコ政府が当初の計画をくつがえして助成を大幅に引き下げたことで、投資家が懐疑的になっているという。エネルギー規制当局は2月、2014年にも再生可能エネルギーに対する助成措置をほぼ全廃する意向を明らかにしている。

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財務危機に陥っている企業の1つが墺フロニウスの子会社だ。ソーラーブームの続いていた2010年には14億コルナ弱の売上高を計上していたが、昨年には74万1,000コルナに急落した。チェコ最大のソーラーパネル・メーカーである独ショット・ソーラーも、アジア製品との価格競争を理由に500人の削減を計画する。先月には太陽電池の材料を生産する英国のクックソンがモラヴィア地方の工場を閉鎖した。

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官僚主義と税負担から逃れる手段として、国外へ目を向ける地場系企業も増えているようだ。チェコ企業はブルガリアやルーマニアといった新興市場だけでなく、ドイツや英国、イタリアなどでも成功を収めている。ただ、ドイツとスペインで固定買い取り価格(フィード・イン・タリフ)が引き下げられたほか、ブルガリア政府も太陽光発電設備への新たな課税を検討中。国境を越えても経営環境が劇的に改善するというわけではなさそうだ。

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再可エネ推進派は、「ソーラー業界の経営環境を安定させることがクリーンな電力の生産を拡大し、化石燃料への依存を減らし、長期的には電力価格の低減につながる」として、太陽光電力への課税を批判している。また、発電量の90%を化石燃料に頼っている事実を確認し、原子力発電への助成を欧州連合(EU)に働きかけるネチャス首相の姿勢を非難している。

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(1CZK=3.88JPY)

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