中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2012/8/20

CIS諸国

ロシア移動通信最大手のMTS、ウズベキスタン事業免許はく奪

この記事の要約

ロシアで企業活動が政治的恣意によって妨害されるケースがあるが、そのロシア企業が中央アジアで同じ苦難に直面している。ロシア最大の移動通信企業であるモバイル・テレシステムズ(MTS、システマグループ)が、ウズベキスタンで事業 […]

ロシアで企業活動が政治的恣意によって妨害されるケースがあるが、そのロシア企業が中央アジアで同じ苦難に直面している。ロシア最大の移動通信企業であるモバイル・テレシステムズ(MTS、システマグループ)が、ウズベキスタンで事業免許の無効を宣言され、罰金や税金として総額10億米ドルを超える支払いを求められているのだ。今回のケースは、中央アジアにおけるビジネスの難しさを改めて示している。

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MTSは2004年にウズベキスタン国営通信企業のウズドゥンロビタに出資して子会社化した。MTSによると、ウズドゥンロビタが保有していた事業免許も同時に取得した。同社に対するMTSの投資残高は買収を含めて13億7,000万ドルに上っている。

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ウズベキスタン当局とMTSは、追徴課税や不正取引などの問題をめぐって対立を深め、先月17日に通信情報庁(SACI)がウズドゥンロビタの事業免許を10日間停止した。これと同時にウズドゥンロビタはサービスを中止。人口の38%に当たる950万人の顧客が携帯電話を利用できなくなった。同27日には経済裁判所が免許の停止期間を3週間延長し、今月13日には無効を言い渡した。MTSは判決を不服として異議を申し立てる構えだ。

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一方でウズドゥンロビタの子会社16社は競争法、消費者保護法、広告法の違反があったとして、MTSを同時に告発した。独占委員会はこれを受けて、MTSに8,000万ドル以上の罰金支払いを命じた。MTSは子会社の告発文がタイプミスを含めて一字一句違わず同じであったとし、上からの指示に従っただけの根拠のないものと反論している。

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さらに税務当局は、MTSに9億ドルを超える追徴課税を言い渡した。MTSは今年2月に行われた2007~10年の税務調査で大きな問題は見つからなかったとして、これに対しても異議を申し立てるとしている。

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MTSによると、政府の狙いは国内最大の電気通信企業であるウズドゥンロビタの再国有化にある。その根拠の一つとして、ウズドゥンロビタの時価総額が政府の要求額の合計とほぼ一致することを挙げる。

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ウズベキスタンはビジネスの難しい国として知られている。世界銀行のビジネス環境指数では183カ国中166位、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の汚職度指数では183カ国中177位にランキングしている。

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MTSはトルクメニスタンでも2010年末に事業免許をはく奪され、ようやく先月末にサービスを再開したばかりだ。(東欧経済ニュース7月4日号「ロシア携帯最大手MTS、ウズベキスタンで免許取り消しの危機」、2月22日号「トルクメニスタンの門戸開放進まず、ガス資源開発も限定的」を参照)

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