ベラルーシで23日、下院選挙が行われ、ルカシェンコ大統領の支持派が議席を独占した。同国では2010年の大統領選以来、野党・反対派の弾圧が続いており、欧米諸国などが強く批判している。今回の選挙についても、欧州安全保障協力機構(OSCE)は「不公平で自由な選挙とはいえない」との見方を明らかにしている。
\中央選管の24日発表によると投票率は74.2%で、議員定数110人中109人が大統領支持派で占められた。残る1人については誰も過半数票を得られなかったため、再度投票が行われる。
\メディア報道によると、選出議員は主に国営企業の従業員や教師、医師だが、諜報機関KGBの職員も多数に上るという。与党以外に所属する4人も事前に大統領への忠誠を誓っており、事実上、議会には大統領反対派が存在しない状況だ。
\ルカシェンコ大統領は選挙について、民主的選挙の実現に全力を尽くしたと言明。しかし、「700万人の有権者があり、7,000カ所の投票所で行われる選挙であるから、違反が全くないとはいえない」と話した。同時に、欧米諸国から「要らぬ圧力」をかけられたと不満を表した。
\366人の選挙監視員を派遣したOSCEは24日、問題点として◇主要な野党政治家は投獄されているか、立候補を許されなかった◇国営メディアはルカシェンコ大統領の報道に注力◇テレビ討論会は検閲後放映された◇選挙法に定められた開票作業の手順があいまい◇投票所への監視員の立ち入り制限◇選挙結果の不当性を裁判に訴えることができない――などの点を挙げた。
\人権保護団体の「Wjasna」も、◇国選の選挙監視員のうち野党はわずか1%◇不在者投票所の中には投票箱が夜間、開いたままのところがあった◇独自調査による投票率よりも公式発表のほうが平均18ポイント高かった◇学生が選管委員会に大学提出用として投票証明書の交付を求めた――などの事例を報告している。
\今回の選挙戦では、野党のネットサイトがアクセス不能になるなどの妨害もあったという。また、反対派の候補者は、自身や家族がKGBの圧力を受けたため立候補を取り下げた。統一市民党やベラルーシ人民戦線などの野党は選挙のボイコットを呼びかけた。キリスト教民主党の推定によると、投票率は選管発表よりもずっと低い38%にとどまったという。
\ミンスクでは投票日、警察が中立の選挙監視員およそ20人を短時間拘束した。理由について公式な説明はなされていないが、メディアは監視団が多くの不正を記録したと指摘している。
\国外の記者については、取材目的の入国拒否や出国時の撮影機材押収といった妨害があった。選挙後も反対派の抗議活動を取材する記者が警察官に殴られ逮捕されたもようだ。
\ベラルーシと西側諸国の関係は緊張が続いている。欧州連合(EU)と米国は、反対派の弾圧と人権侵害を理由に、すでに政府関係者の入国禁止などの制裁措置を実施した。(東欧経済ニュース3月7日号「EU加盟国、在ベラルーシ大使を一斉召還」、2011年6月22号「EU、対ベラルーシ経済制裁を厳格化」、2010年12月22日号「ベラルーシ大統領選挙、ルカシェンコ氏が4選決める」を参照)
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