メタノールを含む密造酒による中毒事故が相次いでいるチェコで14日、アルコール含有量20度以上の飲料の販売が全面的に禁止された。レストランやバーでの販売も対象だ。警察の捜査で容疑者が逮捕されているものの、犯人が特定されておらず、現時点ではいつまで禁止が続くのか、全く見通しがついていない。これを受けて、隣国ポーランドもチェコから輸入されたアルコール飲料の販売を1カ月禁止すると発表した。
\チェコでは今月に入り、北東部の屋外市場やキオスクで売られた酒を飲んでメタノール中毒になったケースが報告された。当局は該当地域での蒸留酒販売を禁止したが、プラハを含む他の地域の酒販売店でも密造酒が見つかったため措置を強化した。16日までに死者20人、重傷者36人を出している。
\今回の事故を機に、アルコール醸造・流通業の関係者からは税務当局が蒸留酒の販売量を確認できるよう、酒類販売店にデジタルキャッシャーの導入を義務付けるなど、監視の強化を求める声があがっている。
\また、酒の密造・密売行為に対する罰則を厳しくすべきとの意見も聞かれる。チェコでは有毒なアルコール飲料を流通させた場合に限り、最高10年の懲役刑が科せられる。その他の密造・密売では軽犯罪法で処分されるに過ぎず、ミンチッチ副財務相は「大きな犯罪と位置づけるべき」と発言している。
\一方、蒸留酒販売の禁止が長引けば、税収が減少してチェコ財政の健全化にも影響が出る可能性がある。蒸留酒販売による税収入は月額7億5,000万コルナ(4,040万米ドル)に上っている。
\プラハの酒類輸入業者グローバル・スピリッツのオッタ社長によると、チェコの蒸留酒市場の規模は200億コルナ。合法的に造られている自家製蒸留酒の量は推定7,200万リットルに上る。一方で闇市場の規模は700万~900万リットル、金額にして12億コルナとみられている。
\メタノールは毒性が強く、数ミリリットルの摂取で吐き気や視力障害を引き起こし、最悪の場合、死に至る。
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