ロシア最大の金融機関で国営のズベルバンクが、中国の大手金融機関との提携を強化する。ロシアにおける世界的スポーツイベント開催に向けたプロジェクトに融資するため、中国からの借り入れを拡大するほか、共同融資の可能性を探る。この動きは、国内事業の成長減速を見越し、国際化を図る同行の戦略にも合致する。
\アンドレイ・ドンスキフ副頭取によると、ロシアと中国の貿易額は今年900億米ドルを超える見通しで、両国金融機関が提携する機会が生まれている。先月には中国工商銀行(ICBC)、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行、国家開発銀行(CDB)、中国輸出入銀行、交通銀行、上海浦東発展銀行の幹部と会談し、融資枠の拡大で合意したという。詳細は明らかにされていない。
\また、2014年ソチ冬季オリンピック及び2018年サッカー世界選手権(W杯)の開催に向けた社会基盤整備計画に共同融資する方向で話し合いを進めているという。W杯だけでも資金需要は200億米ドルに上る見通しだ。
\ \■新規融資の伸び鈍化
\ \ズベルバンクは国内貸出高の約3分の1を占める最大手だが、調達コストの上昇で法人向け融資の伸びが鈍りつつある。11月初めの時点の増加率が13.3%にとどまったことを受け、今年の予測を従来の20%から「20%以下」に引き下げた。来年も15%以下にとどまる見通しだ。
\中銀は9月に利上げを実施した。翌日物金利は先月25日に2009年末以来で最高の6.45%を記録するなど、企業にとっては5~10年単位のプロジェクト資金調達のリスクが高くなっている。
\インフレを懸念して中銀が利下げに慎重であること、銀行の自己資本比率が低下していることから、ズベルバンクでは新規融資が減少するとみる。中銀も来年の国内新規融資の伸び率が今年の20~25%から20%前後へ縮小するとの予想だ。
\ロシアの法人向け融資は1-9月期に10%、個人向けは29%、それぞれ増加した。一方で自己資本の成長率は7.7%にとどまった。
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