2012/12/12

ロシア

アブラモビッチ氏、ノリリスク・ニッケルに資本参加

この記事の要約

ニッケルとパラジウムの世界最大手であるノリリスク・ニッケルの少数株を、ロシア富豪のローマン・アブラモビッチ氏が取得する。2008年以来続く大株主間の対立を解決する狙いで、アブラモビッチ氏が調整役となることが期待される。ロ […]

ニッケルとパラジウムの世界最大手であるノリリスク・ニッケルの少数株を、ロシア富豪のローマン・アブラモビッチ氏が取得する。2008年以来続く大株主間の対立を解決する狙いで、アブラモビッチ氏が調整役となることが期待される。ロンドンの調停裁判における口頭審理開始を目前に、プーチン大統領の肝いりで合意が成立したようだ。

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ノリリスク・ニッケルには、ウラジーミル・ポターニン氏率いる投資会社インターロスが28%、オレグ・デリパスカ氏の傘下にあるアルミナ世界最大手のルサールが25%を出資する。また、17%はノリリスクが自社株として保有する。

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ルサールの3日発表によると、ノリリスクは保有する自社株のうち7.3%をアブラモビッチ氏の投資会社ミルハウスに売却し、残る自社株を消却する。売却額は不明だが、時価で換算するとおよそ18億米ドルに相当する。

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また、インターロスの3日付プレス発表によると、3氏は持ち株各7.3%を信託口座へ払い込む。合計22%の議決権はミルハウスが行使する。代わりに、ルサールへは配当が上乗せされ、ポターニン氏は社長に就任する。

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定員13人の監査役会にはミルハウスが3人、インターロスとルサールが4人ずつの代表を送り込む。

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今回の取り決めが長期的な有効性を発揮するよう、インターロスとルサールは今後5年間、ミルハウスも3年間、ノリリスク株の保持が義務付けられる。

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ポターニン氏の社長就任で、ノリリスクの営業方針に大きな変更はなさそうだ。また、取締役会と、増配を要求する株主との間を取り持つ役割を果たせるとみられている。

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ルサールによると、ノリリスクは2012~14年に「配当安定化」を目指すとしており、モスクワの市場関係者はこれが増配を意味すると解釈している。

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■4年越しの対立

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デリパスカ氏とポターニン氏の対立は、ルサールがノリリスク株を取得した2008年に始まった。金融危機の直前に、ルサールはポターニン氏のビジネス・パートナーであったミハイル・プロホノフ氏からノリリスク株25%を140億ドルで買収。しかし、ポターニン氏に近い人物から構成される取締役会の下、経営参加が妨げられたと主張している。

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また、この時期にノリリスクが実施した自社株買いを通じてポターニン氏が自らの懐を肥やしたと批判している。

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両氏の対立は調停裁判所にも持ち込まれ、ロンドンで先週、口頭審問が始まる予定だった。ロシアを代表する企業の株主が公に泥仕合を繰り広げるのを防ぎたいプーチン大統領の思惑もあり、今回の合意が成立したもようだ。

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ルサールは今年1-9月期に1億1,700万ドルの損失を計上したほか、有利子債務が今年の通期予想売上高に匹敵する110億ドルに膨らんでいる。このため、ノリリスクの配当額は同社にとって大きな関心事となっている。

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