ブルガリアのボリソフ内閣が21日、総辞職した。電力料金の引き上げを機に政治に対する国民の不満が爆発し、大規模な抗議行動が全国に広がったためだ。識者らは、政権にとどまれば次回選挙で確実に敗北するとよんだボリソフ首相が、起死回生のチャンスを狙って辞職を選んだとみている。
\プレブネリエフ大統領は25日、3大政党が新政権の組閣を拒否する姿勢を示していることを受け、来月8日までに暫定政権を成立させる意向を明らかにした。その上で、7月に予定されていた議会選挙を、4月末から5月中旬までの間に前倒しで実施する方針だ。
\ブルガリア政府は2008年以降の経済危機で財政が大きく悪化した。金融をはじめ経済面でギリシャとの結びつきが強いという不利な条件にもかかわらず、緊縮政策で財政を立て直し、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)の支援なしで切り抜けた。2012年の財政赤字は国内総生産(GDP)の1.5%、国家債務は19.5%にとどまった。これに対して、国外から多くの賞賛を受けた。
\しかし、その中で国民の生活は大きく悪化した。職を求めて国外に人口が流出したが、それでも失業率は金融危機前の5.6%から12.7%まで上昇した。若年失業率は約33%に上る。経済の回復も遅れ、昨年の成長率は0.8%にとどまっている。
\欧州統計局(ユーロスタット)の昨年12月発表のリポートによると、ブルガリアの相対的貧困率(等価可処分所得中央値の60%の金額未満の所得しかない人口が全人口に占める比率)は49%とEU加盟国中で最も高い。
\このような状況の中で、電力料金の増加は国民の多くにとって承認できないスキャンダルだった。値上げはすでに昨年7月に実施されたが、12月は寒波に加えてクリスマス休暇の関係で40日分が請求されたことから料金が急増。請求額が前年同月の2倍以上になるケースさえあった。
\ぎりぎりの生活を続けてきた国民は、電力会社だけでなく、独占状態を許容し値上げを承認した政府に怒りを爆発させた。抗議行動への参加者は数十万人と、1996年のハイパーインフレ時の反政府デモに匹敵する規模となった。
\ブルガリアではチェコのCEZとエネルゴ・プロ、スイスEVNが各地域の電力供給事業を事実上独占している。
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