キプロス危機で、同国の銀行預金総額の約3分の1を占めるロシア・マネーの動向に注目が集まるなか、ラトビアの金融資本市場委員会(FKTK)のザクリウス委員長は21日、同国がロシア資本の逃避先になることはないとの見方を示した。
\財政危機に陥っているキプロス政府は、ユーロ圏からの金融支援を確保するため、大口預金者を対象に銀行預金に課税する方針。富裕層や企業の租税回避地(タックスヘイブン)としての顔を持つキプロスにはロシアから大量の資金が流入しており、銀行預金の総額の3~4割に相当する約200億~250億ユーロをロシアの企業・個人が保有していると言われている。預金課税の実施でこれらのロシア・マネーは一斉に海外に逃避するとみられ、逃避先のひとつとしてラトビアが有力視されている。
\ロシア系住民が人口の約3分の1を占め、歴史的に同国とつながりが深いラトビアは、長らくロシアのオフショア金融センターとして機能してきた。国際通貨基金(IMF)の調べによると、国内銀行の預金総額120億ラト(170億ユーロ)の半分を占める非居住者預金のうち9割はロシアをはじめとする独立国家共同体(CIS)によるものだ。ラトビア国営通信LETAの報道によると、ロシア人顧客向けサービスに力を入れている銀行ではキプロス危機の勃発以降、問い合わせが急増しており、すでにキプロスから逃避した資金の流入が始まっていると指摘する業界関係者の声もある。これに対し、FKTKは非居住者からの資金流入に対する監視を強化。ザクリウス委員長は、「出所がはっきりしない大量の資金が今後流入すると考える根拠はない」と述べたうえで、「ラトビアとキプロスでは金融セクターの規模や経済に対する影響が異なっており、ラトビアが第2のキプロスになるということはありえない」と強調した。
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