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2013/4/24

ポーランド

化学大手タルヌフの政府保有株、欧州復興開発銀などに売却

この記事の要約

ポーランド政府は18日、肥料最大手アゾティ・タルヌフの政府保有株12.1%を欧州復興開発銀行(EBRD)などからなる企業グループに売却したと発表した。ロシア同業アクロンによるタルヌフへの影響力強化を阻止するのが狙い。国家 […]

ポーランド政府は18日、肥料最大手アゾティ・タルヌフの政府保有株12.1%を欧州復興開発銀行(EBRD)などからなる企業グループに売却したと発表した。ロシア同業アクロンによるタルヌフへの影響力強化を阻止するのが狙い。国家資産省は、タルヌフの競争力強化に向けて長期・安定的な出資を意図する投資家に売却を申し出たと説明している。今回の取引で政府出資比率は33%に縮小した。

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具体的な売却配分は明らかにされていないが、欧州復興開発銀行(EBRD)は同日、5.75%を2億9,640万ズロチ(7,210万ユーロ)で買収したと発表した。取引額は1株52ズロチで、ワルシャワ証取における18日終値を21%下回る水準。ロイター通信の計算によると、総額は2億米ドルに上る。

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タルヌフは昨年、アクロンから敵対的買収を仕掛けられたが、国内同業の国有企業ZAプワヴィの買収で企業規模を拡大して阻止した。ただ、これにより政府出資比率が45%に上昇。法の規定により今月24日までに33%以下に縮小することが必要となっていた。

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アクロンは敵対的買収には失敗したものの、出資比率を12.9%まで引き上げることに成功。政府はアクロンによる少数阻止株取得を避けるため、他の投資家への売却を模索していた。

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タルヌフはポーランド化学業界の再編で着実に事業基盤を拡大した。2010年にケジェルジン、翌年にZChポリツェ、今年1月にはプワヴィを買収し、ポーランドだけでなく、欧州肥料業界の大手に成長している。

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昨年は売上高で71億ズロチ、営業利益(EBIT)で3億7,200万ズロチ、純利益3億1,500万ズロチを計上した。1株利益は4.59ズロチだった。昨年末現在の従業員数は8,500人。プワヴィ買収で売上高は100億ズロチを超えるとみられている。

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