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2013/6/5

総合・マクロ

GDFスエズ、ナブッコ計画に9%出資

この記事の要約

カスピ海地域の天然ガスをロシアを迂回して欧州へ輸送する「ナブッコ・パイプライン」計画に、フランスのGDFスエズが新たに参加する。主要調達先とするアゼルバイジャンのシャーデニス第2フェーズ開発の企業連合が今月末に欧州への輸 […]

カスピ海地域の天然ガスをロシアを迂回して欧州へ輸送する「ナブッコ・パイプライン」計画に、フランスのGDFスエズが新たに参加する。主要調達先とするアゼルバイジャンのシャーデニス第2フェーズ開発の企業連合が今月末に欧州への輸送路を最終決定するのを前に、ナブッコ計画の有望性をアピールする格好だ。

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同計画推進で中心的役割を果たすオーストリアOMVは5月28日、事業会社の株式9%をGDFスエズに売却すると発表した。同社は4月中旬に独RWEから17%を買い取っており、その時点で持ち株の一部を他社に譲ると予告していた。手続きはシャーデニス企業連合の決定後の今年後半に完了させるとしている。

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RWEは、天然ガスの調達見通しが十分でないことと、本国ドイツ政府の原発廃止政策で経費がかさんでいることを理由にナブッコ計画から撤退した。

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ナブッコ企業連合は現在、当初予定を縮小した「ナブッコ・ウェスト」計画を推進している。予想される投資額が初めの79億ユーロから150億ユーロに膨らんだことが理由だ。「ナブッコ・ウェスト」は、トルコとブルガリアの国境からブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経由し、天然ガス輸送のハブ基地であるオーストリア・バウムガルテンに至る全長1,300キロメートルのパイプラインとなる。当初はトルコにも2,500キロメートルを敷設する計画だった。

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今回のGDFスエズの出資により、ナブッコ計画への参加企業は同社とOMVのほか、ブルガリアBEH、トルコBotas、ルーマニアのトランスガス、ハンガリーFGSZ(MOLのガス部門)の6社となる。

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シャーデニス第2フェーズはアゼルバイジャン国営石油SOCAR、英BP、ノルウェー・スタトイルの企業連合が開発中。同企業連合は、ナブッコか、アドリア海横断パイプライン(TAP)のどちらかを欧州への輸送路として選択する方向だ。

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TAP計画には独エーオン、スイスのアクスポのほか、シャーデニスの開発にも参加しているスタットオイルが出資している。

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