2002年以来の大洪水がドイツ、オーストリア、チェコなどの欧州中央部を襲った。10日までに24人の死者が確認されたほか、冠水による家屋・耕地への被害、工場の操業停止、交通路の通行不能による損害などが出ている。被害の全容は明らかになっていないが、ミュンヘン再保険会社は被害総額が2002年の165億ユーロを超えることもありうるとみている。
\中東欧で最も被害の大きかったチェコはこれまでに11人の死者を出した。国内大手銀行CSOBのアナリスト、ヤン・ブレス氏は先週、国内被害総額が200億コルナを超える可能性があるとの見方を示した。
\チェコ保険協会は先週の時点で、保険がカバーする損害額を75億コルナ(3億8,700万米ドル)と見積もっている。2002年の保険支払額(347億コルナ)の2割強の水準だ。
\政府は被害を受けた中小企業を対象に、免税措置・低利融資などの支援策を実施する方針を発表。12日の閣議で検討する。
\チェコではモルダウ川・エルベ川流域が最も大きな打撃を受け、その損害額はそれぞれ7億コルナ、4億4,000万コルナに上るもようだ。
\農産物被害は推定20億コルナ(7,800万ユーロ)で、2002年の36億コルナの半分強。ただ、これは作物の損害のみで、耕地被害は含まれていない。
\公的機関の保有する水利施設には22億コルナ、国有森林管理会社レシCRは2,600万コルナ、上下水道には1億コルナの損害が生じたとされる。
\また、プラハ北方の高速道D8号線工事現場では地滑りが起き、工費が10億コルナ増える見通しとなった。
\ハンガリーの首都ブダペストではドナウ川の水位が観測史上で最高を記録した。しかし、堤防強化や土のうを積み上げるなどの対策が奏功し、大きな被害を免れた。
\スズキ自動車のエステルゴム工場は、社員の重要な通勤路である橋が通行止めとなったため、10日に操業を停止した。部品供給に滞りはなく、再開後に減産分を取り戻すことに問題はないもようだ。
\また、ジュールで工場を操業するアウディは、出勤できない従業員がいたものの、生産体制を調整することで製造を継続した。
\スロバキアでも首都ブラチスラバでドナウ川の水位が過去最高を記録したが、大きな被害は免れた。大きな影響が懸念された南部のコマールノと、エステルゴム対岸のシュトウーロヴォでも、比較的被害が小さくて済んでいる。
\ドナウ川下流のクロアチアやセルビアでは今後水位が増加する見通しで、すでに対策を進めている。
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