欧州経済の停滞に伴って、中東欧で外国直接投資(FDI)の流入が鈍化している。ウィーン国際経済比較研究所(WIIW)が6日発表した2013年第1四半期の統計によると、中東欧13カ国のうち10カ国で投資額が減少した。通期では全体として22%の後退が予想されている。
\昨年は中東欧の欧州連合(EU)加盟国に対するFDIが35%拡大した。しかし、これは迂回投資など資金の動きが活発化した結果とみられる。実体を伴う投資の目安となるグリーンフィールド投資の件数は17%減少した。これまで投資の担い手となってきた製造業と、高度なサービス業で縮小している。
\投資する企業の国籍別でFDI残高をみると、オランダが1位で全体の14.3%を占めた。製造業と並んで主な投資対象となっている金融業、企業サービス業で本社がオランダに置かれていることが多い事実を反映している。2位はドイツの14.3%、3位はオーストリアの10.7%となった。
\トルコを含む南東欧7カ国に限ると、オランダの1位(16.7%)は変わらないものの、2位は歴史的に結びつきの強いオーストリア(12.5%)が占めた。
\中東欧経済の成長にFDIが直接貢献する時代は終結している。投資額を上回る金額が利益として外国の本社に還元され、経常収支にマイナスの影響を与えることが多いためだ。
\国外投資家の中東欧事業利益は2012年、伸び悩んだ。チェコ、エストニア、ロシアで利益率が再び10%を超えた一方、ハンガリー、リトアニア、ポーランド、スロバキアでは8%を割り込んだ。ブルガリア、ルーマニア、スロベニアなど南東欧地域では利益はごくわずかにとどまった。多くの外資系企業が赤字決算となったことによる。
\