憲法の条項が欧州法に抵触しているとして欧州連合(EU)の欧州委員会がハンガリー政府に是正を求めている問題で、ハンガリーのマトルニー外相は7日、要求3項目のうち2項目を条文から削除する方針を明らかにした。欧州委による是正手続き実施を回避する狙い。ただし、1項目についてはハンガリー政府の権限下にある問題として、削除を拒否している。修正を盛り込んだ憲法第5回改正案は秋の議会通過が見込まれる。
\今回、ハンガリーが譲歩を決めたのは、(1)憲法裁判所、欧州司法裁判所、その他の国際裁判所の判決によって生じる国家債務の弁済を目的とした特別税の導入を認める条項(2)司法庁長官に係争案件の管轄裁判所を決定する権利を認める条項――の2つだ。
\(1)については、電気通信業界を対象とした2010年および2012年の特別税に関して欧州委が欧州司法栽に提訴している。政府が敗訴すれば、2010年のケースだけでも1,800億~2,000億フォリントの償還が求められる恐れがある。
\(2)は憲法裁判所の権限縮小などを含む司法改革の一環で、欧州委はハンガリーにおける司法権独立の侵害を懸念している。
\一方、民間テレビにおける選挙広告禁止を国内選挙から欧州議会選挙にも広げる条項については、国内法で管轄する問題として残す姿勢だ。(東欧経済ニュース3月13日号「ハンガリー議会、憲法改正案可決」、2012年3月28日号「欧州委がハンガリーを提訴、電気通信税で」を参照。(100HUF=43.22JPY)
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