中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/9/11

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ルーマニア金鉱開発に抗議広がる、環境汚染を懸念

この記事の要約

ルーマニア政府が8月下旬、トランシルバニア地方ロシア・モンタナにおける金鉱開発を許可する決定を下したことに対し、国民が強く反対している。環境破壊・汚染の懸念があるためで、首都ブカレストをはじめ各都市で抗議行動が広がってい […]

ルーマニア政府が8月下旬、トランシルバニア地方ロシア・モンタナにおける金鉱開発を許可する決定を下したことに対し、国民が強く反対している。環境破壊・汚染の懸念があるためで、首都ブカレストをはじめ各都市で抗議行動が広がっているほか、主要河川の下流に位置するハンガリー政府も計画中止を求めている。

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ロシア・モンタナはクルージュ・ナポカの南西50キロメートルほどに位置する。推定埋蔵量は金314トン、銀1,480トンで、欧州の金鉱として最大規模を誇る。同金鉱の歴史は2世紀の古代ローマにさかのぼるが、1989年の共産主義政権崩壊で採掘が中止されていた。

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政府はその後、1997年にカナダの資源会社ガブリエル・リソーシーズと合弁契約を結び、出資比率約2対8の割合で合弁会社「ロシア・モンタナ・ゴールド・コーポレーション(RMGC)」を設立した。

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ところが、開発の準備作業が進められていた2000年にルーマニアのバヤ・マーレ金鉱で鉱さい(スラグ)を堆積させておく鉱さいダムが決壊して100トンに上るシアン化合物が流出する事故が発生。ティサ川やドナウ川を汚染して魚などの大量死を招き、黒海まで被害が広がった。影響は下流のハンガリーやセルビアにも及んだ。これを機に金鉱に対する国民の意識が変わり、根強い反対が続いている。

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しかし、現地のロシア・モンタナでは失業率が85%にも上り、3,500人の雇用創出の魅力は強い。昨年末に地元35市町村で実施された住民投票では6割以上が開発を支持した。

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なお、同金鉱の開発をめぐっては、多くの政治家が賄賂を受け取ったとうわさされている。反対から賛成に立場を翻した例が後を絶たないためだ。ポンタ首相も野党時代には絶対反対をうたっていたが、今回「首相としての義務」を理由に開発許可を閣議決定している。

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