中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/10/2

総合・マクロ

中東欧大手企業の利益3割減、欧州経済危機の影響で

この記事の要約

フランスの取引信用保険大手コファスが9月24日に発表した最新のリポート「中東欧大手500社」によると、2012年の中東欧大手企業の総利益は200億ユーロで、前年から32%近く落ち込んだ。欧州債務危機が影響したもようだ。一 […]

フランスの取引信用保険大手コファスが9月24日に発表した最新のリポート「中東欧大手500社」によると、2012年の中東欧大手企業の総利益は200億ユーロで、前年から32%近く落ち込んだ。欧州債務危機が影響したもようだ。一方で売上高は5%増の6,280億ユーロへ上昇。従業員数も1.5%とわずかながら増加した。コファスは、来年の業績改善を予想している。

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業界別でみると依然として石油・ガスが強い。ポーランドのPKNオルレンが5年連続で1位をキープしたほか、MOL(2位、ハンガリー)、ナフトガス(4位、ウクライナ)、ロトス(6位、ポーランド)、PGNiG(10位、ポーランド)が10位内に入った。全500社中では65社がランクインし、売り上げ全体の4分の1を占めた。

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製造業ではシュコダ自動車が前年の4位から3位に順位を上げ、唯一トップ10入りした。そのほかには、電力が3社、卸が1社がランクインした。

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業界別2位は電力で500社中51社を占めた。自動車業界は42社がランクインし、前年の4位から3位に上昇した。シュコダ自動車、フォルクスワーゲン(VW)、起亜自動車などが拠点を置くチェコとスロバキアが売上高ベースで半分以上を占めた。企業数ではスロバキア西部からチェコ中東部、ポーランド南部、ハンガリー北部に至る自動車産業クラスタに拠点を置くところが多くなっている。

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金属産業は需要縮小と価格低下を受けて6社減の35社となり、前年の3位から4位に後退した。

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不況の影響を受けやすい建設業は今年も不振で、上位500社に入った7社の売上高は9%減少し、赤字額は2億700万ユーロに上った。

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電子産業は20社がランクインしたものの、売上高が6%縮小。純益も31%の大きな落ち込みを示した。

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国別ではポーランドが171社、全体の34.2%を占めて1位をキープした。2位はハンガリーの66社。3位は54社のルーマニアで、初めてトップ3に入った。前年2位だったウクライナは28社減の47社で4位に後退した。

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コファスによれば、調査対象となった13カ国を比較すると、各国間の差がこれまで以上に開いている。スロベニアやハンガリーがなかなか景気低迷から抜け出せない一方で、ポーランドのように経済の堅調さを示す国もある。チェコはユーロ圏の景気後退に苦しんだが、エストニアなどは高い経済成長率を記録した。企業倒産数はブルガリアとクロアチアで大幅に上昇。逆にエストニアとリトアニアでは大きく減少した。(「目で見る東欧・CIS経済を参照)

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