中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2013/12/11

総合・マクロ

EUの貧困リスク、人口の4人に1人

この記事の要約

欧州連合(EU)で貧困・社会的疎外のリスクに直面している人が全体の24.8%に上っている事実が、欧州統計局(ユーロスタット)が5日発表した調査でわかった。金融危機前の2008年から1.1ポイント悪化した。ブルガリア、ルー […]

欧州連合(EU)で貧困・社会的疎外のリスクに直面している人が全体の24.8%に上っている事実が、欧州統計局(ユーロスタット)が5日発表した調査でわかった。金融危機前の2008年から1.1ポイント悪化した。ブルガリア、ルーマニア、ラトビアの東欧3カ国のほか、財政危機に揺れるギリシャで高い比率を記録した。

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中東欧11カ国をみると、国別で最もリスクが高いのはブルガリアで49.3%。これにルーマニア(41.7%)、ラトビア(36.6%)が続き、EU全体でもワースト3を占めた。一方で最も低かったのはチェコの15.4%。08年比でも0.1ポイントの悪化にとどまっている。

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中東欧10カ国で08年から改善したのはポーランド(3.8ポイント減)、ルーマニア(2.5ポイント減)、スロバキア(0.1ポイント減)の3カ国だけだった。一方でリトアニア、ブルガリア、ハンガリーは4ポイント以上の悪化を示した(今年加盟のクロアチアは08年のデータがなく比較不能)。

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■相対的貧困率、ルーマニアがEU2位

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貧困・社会的疎外のリスクを示唆する3指標のうち、生活保護などの公的補助を含めた所得が中央値の60%に満たない相対的貧困率は、EU全体で17%だった。

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中東欧ではルーマニアが22.6%で最も多く、EU全体ではギリシャ(23.1%)に次いで2番目。ブルガリア(21.2%)、クロアチア(20.5%)、ラトビア(19.4%)、リトアニア(18.6%)、エストニア(17.5%)、ポーランド(17.1%)もEU平均を上回った。

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一方で最も少なかったのはチェコの9.6%。EU全体でも最低となった。

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家賃や暖房費など最低限必要な支払いに支障が出たり、カラーテレビや洗濯機、電話といった「必需品」が買えないなど、経済的余裕が全くない人の比率はEU全体で9.9%に上った。国別ではブルガリア(44.1%)、ルーマニア(29.9%)、ラトビア(26%)、ハンガリー(25.7%)の順に比率が高かった。中東欧諸国がEUワースト10のうち7カ国を占めた。

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家族を構成する18~59歳の成人の就労時間が、実際に働ける時間の2割に満たなかった世帯はEU全体で10.4%に上った。国別ではクロアチアが16.1%と最も高く、スペイン、ギリシャ、ベルギーが約14%でこれに続いた。

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中東欧ではハンガリー(12.7%)、ブルガリア(12.4%)、ラトビア(11.5%)、リトアニア(11.3%)もEU平均を上回った。

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今回の調査は2012年のデータを分析したものだ。EUでは、3指標のうち1つでも満たした場合に「貧困・社会的疎外のリスク」があると定義している。

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