ハンガリー政府が独RWEからブダペストのガス供給会社フェーガーズの株式49.8%を取得する意向だ。早ければ年内にも合意が成立する。政府に近い現地紙『マジャール・ネムゼト』が9日、フェーガーズのケンチ社長の談話として報じた。
\政府は国営電力会社MVMを通じて株式を買収する。適正評価手続き(デューディリジェンス)の結果を踏まえ、近く取引額の交渉に入るという。フェーガーズの他の株主であるブダペスト市は、引き続き50%プラス1株を維持する。
\オルバン首相は今年9月、エネルギー料金引き下げと国内経済支援を目的に、国内の公益企業7~8社を国有化する方針を明らかにしていた。RWEが今年3月、伊エニに持ち株を売却したガス供給大手ティガーズについても買収を検討しているもようだ。
\また、ブダペストのタルローシュ市長もデムスキー前市長の任期中(1990~2010年)に民営化されたブダペスト公益企業の再公有化を目指している。昨年3月にはRWEと仏GDFスエズから水道会社を買戻し、完全公有化した。
\一方、RWEは債務圧縮に向けて欧州全域で資産整理を進めている。このため、少数出資のフェーガーズからの撤退は同社の利益にも合致する。フェーガーズの収益が過去3年の電力業界特別税の負担で悪化していることからみてもも、RWEがこの機に手放す可能性は高い。
\フェーガーズはブダペストとその郊外に80万世帯の顧客を持ち、年間8億8,500万立方メートルのガスを供給している。昨年の純益は70億5,000万フォリント(2,340万ユーロ)で、前年実績を14.3%上回った。今年は政府による料金引き下げで大幅減益となる見通しだ。(東欧経済ニュース9月5日号「独エーオンのハンガリー事業、政府が国有化検討」、4月10日号「独エーオン、ハンガリーのガス子会社を売却」、2012年3月27日「首都水道事業、再び完全公営化へ」を参照)
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