2014/1/29

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

セルビアで選挙前倒し、3月にも実施へ

この記事の要約

セルビアで議会選挙が前倒しで実施される見通しだ。議会第一党「進歩党(SNS)」に属するヴチッチ副首相の提案によるもので、3月16日投票の可能性が高い。29日までに日程が確定する。SNSが議席を伸ばして基盤を固め、制度改革 […]

セルビアで議会選挙が前倒しで実施される見通しだ。議会第一党「進歩党(SNS)」に属するヴチッチ副首相の提案によるもので、3月16日投票の可能性が高い。29日までに日程が確定する。SNSが議席を伸ばして基盤を固め、制度改革を含めた政権運営がスムーズになると予測されている。

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セルビアでは前回、2012年5月に選挙が行われ、24%を得票したSNSが第一党となった。しかし、単独では組閣が難しく、社会党(SPS)のダチッチ党首に首相の座を譲ることで連立政権を樹立させた経緯がある。以来、ヴチッチ副首相は「陰のナンバーワン」として地盤を固め、大衆受けする措置でSNSの人気を拡大してきた。世論調査会社イプソスによると、昨年12月の時点でSNSの支持率は43%まで上昇している。

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高支持率を背景に、数カ月前からヴチッチ副首相が2016年の改選を待たず、議会選挙の前倒しに動くとの観測が強まっていた。時期としてはセルビアの欧州連合(EU)加盟交渉開始後と予測されていたが、その通りに事が進んだ格好だ。

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セルビア政府は20日、労働組合などの反対を受けて、労働法および倒産・民営化法の改革案を取り下げた。前倒し選挙をにらみ、国民に譲歩したもようだ。これに伴い、改革を主導してきたラドゥロヴィッチ経済相は、ダチッチ首相とヴチッチ副首相の改革に対する姿勢に疑念が生じたとして、25日に辞任している。同経済相は、緊急課題である経済改革の推進役として昨年8月にヴチッチ副首相の推薦で就任したばかりだった。

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25%弱の高い失業率が示すように、セルビア経済の不振は明白だ。財政赤字縮小も優先課題となっている。この点からも民営化を含めた経済改革は非常に重要な意味がある。国営企業の脱税や、不採算事業への政府補助などで毎年7億5,000万米ドルもの資金が国庫から失われていると言われるためだ。

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さらに、世界銀行は2億5,000万米ドルの支援実施の条件として、政府に対し今年の財政赤字を当初予定の国内総生産(GDP)比7.1%から6.5%に減らすことを求めている。国際通貨基金(IMF)も政府が希望する予防的与信枠の設定に向けて、国家資産の売却・倒産法の整備を要請している。

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■首相「20年のEU加盟目指す」

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EUとセルビアの加盟交渉が21日、ブリュッセルのEU本部で開始された。セルビアは29番目のEU加盟国となることを目標に、交渉を進める。ダチッチ首相は2020年の正式加盟を目指すとしている。

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セルビアは2008年にEUと加盟の前段階である「安定化・連合協定(SAA)」を締結。2012年3月にEUから加盟候補国として正式認定された。しかし、同国からの独立を宣言したコソボとの対立が障害となり、加盟交渉の開始は見送られてきた。

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しかし、セルビアとコソボが昨年4月に関係正常化で合意したことから、欧州委員会は加盟交渉開始を加盟国に勧告。加盟国は6月の首脳会議で交渉開始を承認していた。

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加盟交渉では35に上る項目で、EU基準を満たす必要がある。EUは基本的人権、司法などに関する交渉が大きな焦点になるとしている。初日の交渉に参加したダチッチ首相は、18年に交渉を完了し、2年後の20年に正式加盟を果たしたいと語った。

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