2014/1/29

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

トルコ中銀、大幅利上げ

この記事の要約

トルコ中央銀行は28日、金融政策理事会の臨時会合を開き、政策金利を大幅に引き上げた。通貨リラの下落を食い止める狙い。上げ幅が市場の予測を上回ったことに加え、景気を優先して低金利政策を強く求めるエルドアン首相に中銀の独立姿 […]

トルコ中央銀行は28日、金融政策理事会の臨時会合を開き、政策金利を大幅に引き上げた。通貨リラの下落を食い止める狙い。上げ幅が市場の予測を上回ったことに加え、景気を優先して低金利政策を強く求めるエルドアン首相に中銀の独立姿勢を示したことで、決定後のリラ相場は急上昇。他の新興国通貨にもプラス効果が波及するとみられている。

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中銀は、従来主要政策金利と位置付けてきた7日物レポ金利を4.5%から10%へと2倍以上に引き上げた。また、短期金利の上限を決める翌日物貸出金利を7.75%から12%に引き上げるとともに、今後、通貨流通量の調整に向けた主要な手段と位置付けた。市場では翌日物金利が10%に上昇すると予測されていた。

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リラは長期的に値を下げてきたが、12月に発覚した汚職事件がこれに拍車をかけた。さらに先週、金融政策理事会の定例会合で金利が据え置かれ、下落が加速した。中銀の為替市場介入措置にも関わらず、対米ドル相場は27日の時点で1年前より31%低下し、過去最安値を記録した。

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中銀はこれまで市場介入でリラを買い支える策をとってきた。しかし、その外貨準備高が比較的小さいため、投資家は中銀に長期的かつ継続的に相場を安定させる力がないと判断。介入の効果はあがらなかった。

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さらに大きな流れでは、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小が加速するのではという懸念や、世界経済の停滞が、トルコをはじめとする新興諸国からの資金流出の背景にある。

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■中銀への信頼回復

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トルコ独自の問題としては、多額の経常赤字の穴を、国外からの短期投資で埋めてきた事情がある。株式投資家が急速に資金を引き揚げれば、経済に甚大な影響を及ぼす。企業が多額の外貨建て債務を抱えていることも、リラ下落を食い止めなければならない大きな理由となっている。

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エルドアン首相は常に景気優先の金融政策を求めてきた。◇インフレ率や通貨流通量が中銀目標値を大きく上回っているにもかかわらず中銀が利上げを見送ってきた◇主要政策金利を通常と異なるレポ金利と定めるなど、金融政策が不透明――といった点から、中銀の独立性を疑う声も強くなっていた。

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今回、3月の地方選挙を控える微妙な時期に、首相の意向と対立する利上げを行ったことで、トルコ中銀に対する信頼が大きく回復した格好だ。

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なお、通貨が下落している他の新興国でも当局が対応を急いでいる。アルゼンチンは先週に為替管理を緩和し、ロシアも27日、ルーブルの変動幅を変更した。インドは28日、トルコより一足先に利上げを実施。南ア中銀は本日の会合で対応を決める方針だ。

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