2014/2/12

総合・マクロ

ガスプロムの競争法違反問題、欧州委がさらなる改善要求

この記事の要約

ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いがあるとして欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア委員(競争政策担当)は7日、同社が提示した改善策は不十分との見解を示し、引き続き異議告知書を送付する […]

ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いがあるとして欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア委員(競争政策担当)は7日、同社が提示した改善策は不十分との見解を示し、引き続き異議告知書を送付する方向で準備を進めていることを明らかにした。欧州委はガス価格の設定方法を特に問題視しており、ガスプロムは制裁回避に向けてさらなる譲歩を迫られている。

欧州委はガスプロムが中・東欧における独占的な地位を乱用し、ガス供給ルートの多様化を阻害したり、ガス価格を不当につり上げるなど、域内のガス市場で公正な競争を阻害している可能性があるとして、2012年9月に同社に対する本格調査を開始した。ガスプロムは巨額の制裁金が科される事態を回避するため、昨年12月に改善策を提示。しかし、アルムニア委員は先月、ガスプロムに対して異議告知書の送付準備を進めていると発言していた。

同氏は訪問先のロンドンで、「3つの問題点のうち2つ、つまりロシアからEU諸国に輸入されたガスの再輸出に対する制限と、競争相手を市場から締め出す内容の契約条項に関しては十分な回答が得られた。しかし、価格設定については欧州委が求めている改善策が示されていない」と説明。ガスプロムが欧州諸国との長期契約で採用している、ガス価格を原油価格に連動させる手法自体に反対しているわけではないが、「経済状況を無視した価格設定のメカニズム」に問題があると指摘。同じ欧州内でもガスプロムが設定した価格水準にばらつきがあり、多くの東欧諸国が西欧諸国より高いガス料金の支払いを強いられている点を最も懸念していると述べ、同社から新たな提案がない場合は「数カ月以内に」異議告知書を送付することになると警告した。

ガスプロムのメドベージェフ副社長はアルムニア副委員長の発言を受け、「東欧諸国に対して不当なガス価格を要求しているとの懸念は誤りであることを示す証拠を欧州委に提出している。双方が納得できる妥協点を見出すことができるよう、追加的な資料を準備している段階だ」とコメントしている。