2014/2/12

コーヒーブレイク

「醜い記念碑」が政治問題に~ベラルーシ、ロシア

この記事の要約

米テレビ放送局CNNがホームページに掲載した「世界の醜い記念碑リスト」がベラルーシ、ロシア国民の激しい怒りを呼び、政治問題にまで発展した。CNNはこれまでに記事を削除したが、第2次世界大戦に対する意識の差が浮き彫りとなっ […]

米テレビ放送局CNNがホームページに掲載した「世界の醜い記念碑リスト」がベラルーシ、ロシア国民の激しい怒りを呼び、政治問題にまで発展した。CNNはこれまでに記事を削除したが、第2次世界大戦に対する意識の差が浮き彫りとなった。

問題となったのは、ベラルーシ西部のブレストにある記念碑「勇気」だ。1941年6月、ナチス・ドイツによるロシア侵攻の皮切りとなったブレスト要塞攻防戦で亡くなったソ連軍兵士を讃えるもので、要塞の一部を構成している。

ロシア外務省は記事が掲載された翌日の先月25日、CNNのモスクワ特派員を呼び出し、厳重抗議するという異例の措置をとった。「ファシズムと戦って命を落としたソ連兵士への追悼心をばかにするような行為は許されない」と叱責したという。

CNNは6日、記事がベラルーシやロシアの国民の感情を傷つけたことを詫びる文を掲載したが、記事自体はそのまま残していた。

翌7日にはベラルーシ外務省がゴールドリッチ米国臨時代理大使を呼び、正式に抗議した。その中で、第2次大戦で国民の3人に1人が犠牲になったベラルーシでは「英雄的勇気と自己犠牲を記念することは神聖なものである」と訴えた。

これが効いたのか、ほかにも抗議が絶えなかったのか、CNNは同日、記事自体も削除した。

第2次大戦で2,000万人以上の犠牲を出したソ連では、独ソ戦は「大祖国戦争」と呼ばれ、ファシズムに勝利した輝かしい歴史として讃えられてきた。ソ連が解体した後もその事実には変わりなく、今回のような「冗談」は感情的に受け止められる。

ロシア国営テレビのアンカーマンは仕返しに、米国の硫黄島戦勝記念碑の兵士2人が「ゲイのセックス」を真似ているようだと発言したようだが、それに対する米国人の反応は伝えられていない。