中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2014/5/21

ロシア

ロシア、輸出決済をルーブル建てに移行か

この記事の要約

ロシア政府が国営企業の輸出決済通貨をルーブルに切り替えることを検討している。ウクライナ情勢をめぐる対ロシア制裁を受けたもので、欧米諸国のロシア経済への影響力を縮小する狙いだ。これに対しては、ロシア企業の競争力を大きくそぐ […]

ロシア政府が国営企業の輸出決済通貨をルーブルに切り替えることを検討している。ウクライナ情勢をめぐる対ロシア制裁を受けたもので、欧米諸国のロシア経済への影響力を縮小する狙いだ。これに対しては、ロシア企業の競争力を大きくそぐ結果となると警告する声も上がっている。

シルアノフ財務相は14日、ルーブル決済への移行には、輸出業者と買い手の双方に両替・決済手数料、為替変動による費用が発生するなど、一定のリスクが伴うとの認識を示した。それを承知の上で、切り替えへの準備を進めていると話した。

財務相によれば、契約上の決済通貨は自由に取り決められるが、企業の口座に入金される段階でルーブルに両替されている必要がある。また、民間企業はルーブル建て決済の強制を受けない。

今回の動きの背景には、ウクライナ紛争に関連する対ロシア制裁の一環として、米国銀行がロシア18企業の米ドル建て決済の取り扱いを停止したことがある。米国政府は今後の動向次第で、エネルギー・金融業界の大手企業を対象に含める可能性も指摘している。欧州諸国も基本的に同じ方針だ。

これに関連して、ロシア開発対外経済銀行(VEB)のコスチン頭取はすでに先月の時点で、ロシア経済に対する欧米諸国の影響力を縮小するため、輸出決済をルーブル建てに切り替えることを支持する立場を示した。

また、ルーブルの対ドル・対ユーロ為替相場が年初から3月末までにそれぞれ9%、8%も下落していることから、ルーブルによる輸出決済はルーブル相場を支える目的にもかなうとみられている。

一方、クドリン前財務相や市場関係者は、ルーブル建て決済がロシア企業の競争力をそぐ結果を招くと強く警告している。