2014/5/28

総合・マクロ

ウクライナ大統領選、新欧派のポロシェンコ元外相が当選

この記事の要約

ウクライナで25日に実施された大統領選は、親欧派のピョートル・ポロシェンコ元外相(48)の当選が確実となった。開票率95%時点で54.5%の過半数を得票し、決選投票を待たずに当選が確定する見通しだ。 ドネツクなど東部の一 […]

ウクライナで25日に実施された大統領選は、親欧派のピョートル・ポロシェンコ元外相(48)の当選が確実となった。開票率95%時点で54.5%の過半数を得票し、決選投票を待たずに当選が確定する見通しだ。

ドネツクなど東部の一部地域では、親ロ派の武装勢力による選挙妨害で、投票所の大半で投票が行われなかったが、これらの票を勘案してもポロシェンコ氏の優位は揺るがないもよう。他候補の得票率は、「祖国」のティモシェンコ元首相が12.9%、急進党のリアシコ候補が8.38%、「シビル・ポジション」のフリチェンコ候補が5.46%、再結成された「強いウクライナ」のティヒプコ候補が5.28%だった。右派「自由」のチャフニボーク候補は1.16%、極右「右派セクター」のヤロシ候補は0.7%にとどまった。

ポロシェンコ氏は大手菓子メーカーの経営者で、国内有数の富豪として知られる。2004年のオレンジ革命で発足したユーシェンコ政権で外相を務めた。旧ソ連邦崩壊後の国営企業民営化に乗じて財を成した国内の多くの富豪と異なり、起業して一代で大手菓子メーカーを築いた「たたき上げ」の人物。その実務能力や、欧州連合(EU)との関係強化を掲げながらもビジネスでのパイプを持つロシアとの関係改善、国内の親ロ派勢力との融和も重視する姿勢が評価され、最有力候補となっていた。暫定政権が推すティモシェンコ候補も親EU派だが、暫定政権がロシアのクリミア編入、親ロ派武装勢力の台頭を許し、国内分裂の危機を招いて求心力を失ったため、政治中枢への返り咲きはならなかった、

勝利宣言したポロシェンコ氏は記者団に「最初の課題は争いと混乱、無秩序に終止符を打つことだ」と述べ、東部地域の親ロ派住民との融和、ロシアとの関係改善に取り組む意向を表明。近く東部を訪れ、親ロ派との対話を進める方針を示した。

ロシアのプーチン大統領は、選挙結果を受け入れ、新大統領と危機打開に向けて協力していく姿勢を示していた。ただ、東部で投票を行うことができなかったことで、選挙を無効と宣言する可能性もあり、今後の出方が注目される。